研究課題/領域番号 |
21H02166
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研究機関 | 鳥取大学 |
研究代表者 |
辻本 壽 鳥取大学, 乾燥地研究センター, 教授 (50183075)
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研究分担者 |
宇部 尚樹 富山県立大学, 工学部, 助教 (00879405)
山崎 裕司 鳥取大学, 乾燥地研究センター, 特命助教 (00794281)
Yasir・SA Mohammed・Gorafi 鳥取大学, 国際乾燥地研究教育機構, 特命准教授 (40813324)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | マカロニコムギ / パンコムギ / 5倍性雑種 / MDL集団 / MSD集団 / 高温耐性 / 遺伝資源拡大 / 野生種 |
研究実績の概要 |
申請者は、国際乾燥地農業研究センターが開発した高収量性・半矮性マカロニコムギ(Triticum durum)の品種「Miki 3」に、異なる生態型を示す9系統の野生エンマコムギ(T. dicoccoides)を交配し、それらのF1雑種に「Miki 3」を戻し交配してBC1F1種子を得た。次に異なる野生エンマコムギに由来するBC1F2系統10個体からの種子10粒ずつを混合して900個体からなる集団を作り、それをバルクとして自殖を繰り返し世代を進めMSD集団を開発した。 本研究では、このMDL系統群をスーダン農業研究機構(ゲジラ州ワドメダニ)の高温試験圃場において栽培し、出穂、バイオマス量、穂数、千粒重、種子収量などの農業形質を測定した。このワドメダニでの栽培では、播種機を遅らせ収穫後期に極度に高温に暴露する方法も採用した。さらに、冷涼な北部州ドンゴラでも同じ系統群を栽培した。これら異なる条件下での成績の比較によって、ストレス耐性と生産性を切り離して、解析できるようにした。この系統によって、明らかに高温耐性を示すマカロニコムギを選抜した。 一方で、このMSD系統群の全系統(約200系統)からDNAを抽出し、DArTseqによる一塩基多型マーカー(13321カ所の一塩基多型)でジェノタイピングを行った。これら耐性系統および現在の実用マカロニコムギ系統のフェノタイピングおよびジェノタイピングデータを元に、ゲノムワイド関連解析(GWAS)を行い、高温耐性に関与するQTLsを同定した。 これらMDLの中から選抜した高温耐性系統を、既にパンコムギを遺伝的背景として開発している高温耐性系統と交配するために、それぞれの系統を日本の圃場にて栽培した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
COVID-19の世界的蔓延のため、スーダンの圃場に訪問できず、作業を全て現地に委託した。毎週、ミーティングを開き指導した結果、概ね順調に研究を進めることができた。
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今後の研究の推進方策 |
高温耐性をもつMDL系統(マカロニコムギ)を同定できたので、これと明らかに高温耐性を示すMSD系統(パンコムギ)を交配して、様々な組み合わせの5倍雑種を作る。5倍雑種の種子を人工気象器において栽培し、高温耐性を調査する。また、高温耐性に関わる代謝物を調査する。これらの研究により、高温耐性に関わるQTLの集積効果を形質及び生化学的に理解する。
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