今後の研究の推進方策 |
ACC合成酵素を脱リン酸するprotein phosphataseはPP2Aである。PP2Aは3つのサブユニットA, B, Cから構成されている。Bサブユニットには基質を認識する調節機能がある。トマト果実で発現するPP2AのB"型(5種類)サブユニットを同定してあるので、これらのサブユニットと追熟果実で発現するアイソザイムSlACS2とSlACS4のBサブユニットをAlphaScreen法により解析し、ACC合成酵素を認識するBサブユニット候補を選抜する。トマトのACC合成酵素のアイソザイムは7種類以上あるが、追熟果実で発現するアイソザイムはSlACS2とSlACS4である。SlACS2はリン酸化されるが、SlACS4はリン酸化されない。それ以外のアイソザイムは全てリン酸化される。リン酸化されないSlACS4は実験上のネガティブコントロールとして相互作用を確認する。果実の追熟過程を考慮するとリン酸化SlACS2を認識するPP2Aを同定することが重要である。昨年度までの研究方向性と基本的に同じであるが、あまり成果が進まない。SlACS2に集中してきたが、接触によって誘導されるSlACS1AとSlACS6も同じ仕組みで代謝されるので、これらのアイソザイムとPP2Aサブユニットについても解析する。一方、PP2Aが基質リン酸化タンパク質をBサブユニットが認識する機構であると考えられているので、AサブユニットとCサブユニットの構成でPP2Aは機能する。これまでBサブユニットと基質の相互作用を解析してきたが、サブユニットA, B, Cで構成されたPP2AでAlphaScreen法により解析する計画である。
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