いもち病菌は腐生的な生活環と植物病原菌としての寄生的な生活環を持つ。本研究では、このいもち病菌の「寄生」と「腐生」という二つのモードをスイッチングする機構として、エピジェネティックなクロマチン状態の変化に注目した。その結果、いもち病菌ゲノムには寄生を可能とさせる遺伝子(水平移行で獲得した多くの遺伝子を含む)をゲノムの特定の領域に局在させており、それを主にヒストン修飾の一種であるH3K27me3を用いて制御していることが明らかとなった。また、保存性の高い遺伝子で構成されるユークロマチン領域にも感染に必要な遺伝子は存在しているが、これらは主にH3K4me2/3の制御下にあると考えられた。
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