研究課題/領域番号 |
21H02201
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研究機関 | 弘前大学 |
研究代表者 |
管原 亮平 弘前大学, 農学生命科学部, 助教 (40773346)
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研究分担者 |
清水 伸泰 京都先端科学大学, バイオ環境学部, 教授 (30434658)
石丸 幹二 佐賀大学, 農学部, 教授 (40223028)
徳田 誠 佐賀大学, 農学部, 准教授 (60469848)
田中 良明 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構, 生物機能利用研究部門, グループ長 (90355735)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | トノサマバッタ / フン / 産卵抑制 / 殺卵 |
研究実績の概要 |
トノサマバッタのフンに含まれる産卵抑制成分の特性を探るために、食草が異なる本種由来のフンを準備し、産卵抑制試験に供試した。その結果、調べた5種類のフン全てにおいて本活性が認められた。そこでそれぞれのフンについて分画し、産卵抑制の活性が認められる画分について特徴的な成分を解析したところ、いくつかの共通する成分が認められた。また、産卵抑制活性がない画分との比較により、いくつか候補となる活性成分が絞られた。今後、成分の同定および産卵抑制能について検証を重ねる。 また、本活性が屋外のバッタの産卵抑制を誘導するか検証するために、野外環境でバッタに産卵させるための巨大なケージを作った。次年度は、このケージの中で野外産卵抑制試験を実施する。 バッタのフン抽出液が産卵抑制を示すのは、バッタに対してだけなのか検証するために、チョウ目や甲虫目の昆虫でも産卵抑制試験の確立を試みた。その結果、供試した昆虫でも産卵を忌避する傾向が観察された。さらに追試が必要である。 先行研究では、バッタのフン抽出液がサバクトビバッタの胚発生を阻害することが示された。同様の効果が他の昆虫でも観察されるか検証するために、いくつかの昆虫種の卵をバッタフン抽出液で処理した。その結果、昆虫種によって効果の有無が異なった。また、上述した食草が異なるバッタのフンそれぞれを供試したところ、フンの種類によって効果の有無が異なった。さらに追試する必要があるが、産卵抑制成分と胚発生抑制(殺卵)成分は異なる化合物であることを示唆する結果となった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
計画通り、食草が異なるフン由来の産卵抑制試験およびフン成分の分画を行なった。また、野外の産卵抑制試験に必要な道具を準備し、予備的に試験した。殺卵試験も行い、研究を前進させる知見を得た。
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今後の研究の推進方策 |
一年目で確認された産卵抑制の候補成分について、さらに分画を行い、化合物の同定を目指す。同定の過程で、分画後のトノサマバッタにおける産卵抑制試験が必要になる。 屋外でのトノサマバッタ産卵抑制試験の準備が整ったので、弘前産の系統を用いて試験を行う。予備試験により、雨よけ用の屋根の設置および定期的な水まきが必要なことがわかったので、設備を少し改良して実施する。 トノサマバッタ以外の昆虫における産卵抑制試験は当初予定していなかったが、予備実験によりポジティブな兆候が得られたので、再試験してその真偽を検証する。 殺卵試験においては、感受性の昆虫と抵抗性の昆虫がいることが示唆された。感受性の昆虫について、処理時間の最適化を目指す。また、食草の違うフンにおける効果の違いについて詳細に検証する。さらに、産卵抑制成分とは異なる成分が原因となっている可能性が示唆されたことから、殺卵効果の原因成分についても特定に取り組む。
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