研究課題/領域番号 |
21H02208
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研究機関 | 佐賀大学 |
研究代表者 |
徳田 誠 佐賀大学, 農学部, 教授 (60469848)
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研究分担者 |
龍田 勝輔 佐賀大学, 総合分析実験センター, 助教 (00565690)
澤畠 拓夫 近畿大学, 農学部, 准教授 (80709006)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 幼生生殖 / タマバエ / 菌食性 |
研究実績の概要 |
幼生生殖とは、幼虫または蛹段階で卵巣が発達し、「母幼虫」または「母蛹」が「子幼虫」を産生するという特殊な繁殖様式であり、昆虫では甲虫目で1種とハエ目タマバエ科の複数種でしか確認されていない。これまで日本国内では、海外産の菌糸由来とみられるきのこ栽培施設内でしか幼生生殖タマバエは確認されていなかった。本研究により、国内各地の土着きのこ類から幼生生殖性を示す様々なタマバエを発見し、多くの系統についてエノキタケ菌糸を用いた累代飼育に成功した。 これまでのところ、国内にはMycophila属, Heteropeza属、Leptopsyna属など、少なくとも5属のタマバエが生息していることが判明し、国内における分布や季節発生消長などを調査した(2023年3月10日論文受理)。これらに加えて、未だ成虫が得られておらず、属の所属が未解明の種も確認されていることから、日本国内に多様な幼生生殖タマバエが生息しているという実態が明らかになってきており、前年度に引き続き国内各地での調査を実施した。 2022年度は、前年度に引き続き得られたタマバエ類の分類学的地位の精査、発育増殖特性の調査、モード転換機構の解明に向けた実験を進めた。 Mycophila属の一種に関しては、同属の既知種と形態的特徴を比較した結果、未記載種の可能性が高いことが判明した。また、温度別に飼育実験を行い、温度が 発育増殖に及ぼす影響を明らかにした(2023年2月23日論文受理)。さらに、先進ゲノム支援に採択され、Mycophila属とHeteropeza属のゲノム解析に取り組み、これらを基盤として両属の累代飼育系統を用いたRNA seq解析の準備を進めた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2022年度は、ゲノム解析支援に採択されたため、当初の予定に加えて、Mycophila属とHeteropeza属のゲノム解析に取り組んだ。ただし、解析に必要な純度の高いDNAを十分得る作業に想定よりも時間がかかり、当初、RNA seq解析用に使用する予定にしていたサンプルをゲノム解析に回した。その結果、年度内のRNA seq 解析を実施が間に合わず、予算を繰り越して2023年度に対応することとした。
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今後の研究の推進方策 |
2023年度に予定通りにRNA seq解析が実施できた場合には、ゲノム情報に基づいて効率的な解析が可能となるため、次年度には当初の計画通りに研究を遂行予定である。
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