研究課題
猛禽類の大量死を引き起こす要因として、汚染物質が挙げられている。実際に北海道では鉛中毒により猛禽類の大量死が報告されている。また、残留性有機汚染物質(POPs)に関しても希少猛禽類への影響が懸念されている。この様な大量死の要因となる汚染物質の希少猛禽類への影響を正確に評価し、実態が把握できれば、希少猛禽類に対する有効な保護対策が可能になる。希少な猛禽類の汚染物質の影響評価には、個体を用いた実験研究が第一選択である。しかしながら、野生動物の個体を用いた実験研究は非常に困難であり、絶滅危惧種に関しては不可能と言っても過言ではない。そこで、本研究では我が国の生物多様性保全におけるキーストーン種である猛禽類に関して、iPS細胞技術と最新工学技術ボディーオンチップ技術を融合させて、生体を模した「猛禽類・オン・チップ」を開発することで、猛禽類に対する汚染物質の影響評価の実現を目指している。本研究では、猛禽類のiPS細胞を樹立し、樹立したiPS細胞をもとに様々な細胞に分化誘導し、「猛禽類・オン・チップ」の開発を目指す。本年度は猛禽類のiPS細胞の樹立を試みた。樹立した猛禽類のiPS細胞に関して、マーカー染色や遺伝子発現解析による未分化状態解析、三胚葉分化能力解析、その他細胞の性質解析を中心に機能解析を進めた。また、以前樹立をしたニワトリのiPS細胞を用いて、鳥類のiPS細胞からの分化条件に関して検討を実施した。
2: おおむね順調に進展している
当初予定していたiPS細胞の樹立が達成できた。また、ニワトリをモデルとした鳥類幹細胞の分化条件の検討も滞りなく進めることができた。
樹立したiPS細胞を用いて分化条件を検討する予定である。
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Communications Biology
巻: 5 ページ: 1049
10.1038/s42003-022-03964-y