研究課題/領域番号 |
21H02226
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
中村 誠宏 北海道大学, 北方生物圏フィールド科学センター, 教授 (80545624)
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研究分担者 |
三木 健 龍谷大学, 先端理工学部, 教授 (00815508)
舘野 隆之輔 京都大学, フィールド科学教育研究センター, 教授 (60390712)
日浦 勉 東京大学, 大学院農学生命科学研究科(農学部), 教授 (70250496)
柴田 英昭 北海道大学, 北方生物圏フィールド科学センター, 教授 (70281798)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 気候変動 / 土地利用変化 / 広域パターン / 多様性 / 機能 |
研究実績の概要 |
気候変動は、温暖化だけてでなく、集中豪雨などの極端気象現象の頻度と規模を増大させている。土地利用の変化により気候変動に対する森林生態系の感受性はより敏感になる可能性がある。これら影響の一般性を評価するには広域スケールで調査する必要がある。本研究の目的は、1)森林土壌微生物群集の多様性と機能の関係性と気候変動(温暖化・極端気象現象)への環境応答(感受性)の広域パターンを解明すること、2)これら機能と環境応答への人工林化の影響を広域スケールで評価すること、さらに3)機能と環境応答の決定要因の空間スケール依存性を検討することである。 全国の人工林の74サイト(114プロット)で土壌が採集され送付された。エコプレートの培養実験から、31種類の有機炭素基質に対する人工林の土壌微生物群集の機能(分解能)を測定して、「多機能性」と「機能的多様性」を評価した。土壌のDNA解析(DNAバーコーディング)から、土壌微生物(細菌・真菌)の「種の多様性」を定量化し、予測メタゲノムにより「機能遺伝子群の多様性」を定量化した。土壌理化学性(炭素、窒素、CN比、水分含量、pH)を測定した。環境要因(緯度、経度、標高、降水量、気温)と土壌理化学性(炭素、窒素、CN比、水分含量、pH)が土壌微生物群集の多機能性に与える影響に関して解析した。次年度の気候変動(集中豪雨、乾燥、温暖化)を想定した条件で行うメソコズム実験の準備のために、降水量(1.5倍、1/2、対照の3段階)と温度(2oC上昇、対照の2段階)を操作する手法の開発を行なった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初計画していた通りに進んでいる。
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今後の研究の推進方策 |
天然林・人工林における気候変動(温暖化、豪雨、乾燥)への環境応答(感受性)の広域パターンを解明するメソコズム実験を実施する。メソコズム実験は、インキュベーターを使って降水量(1.5倍、1/2、対照の3段階)と温度(2oC上昇、対照の2段階) を操作する。土壌微生物群集の多様性と機能(分解能)の広域パターンを解明するプロジェクトへの参加に応えた全国の天然林・人工林のサイトは、気候帯は亜寒帯から亜熱帯に及んでいる。その中から全国を網羅するように8コアサイト(北海道:雨竜、苫小牧、関東:秩父、小川、九州:綾、田野)を選定して、その土壌を採集して、メソコズム実験を実施する。さらに、機能と環境応答の決定要因の空間スケール依存性を検討するために、苫小牧研究林内(局所スケール)で環境の異なる複数パッチの土壌を採集する。土壌のDNA解析(DNAバーコーディング)から、土壌微生物(細菌・真菌)の「種の多様性」を定量化し、 さらに予測メタゲノムにより「機能遺伝子群の多様性」を評価する。エコプレートの培養実験から、31種類の有機炭素基質に対する土壌微生物分解能(多機能性)を測定して、「多機能性」と「機能的多様性」を定量化する。また、土壌特性(炭素、窒素、CN比、含水率、pH)も分析する。機能へ影響を与える要因を評価するために、生物的要因としてはモニタリングサイト1000事業の毎木調査・リタトラップ調査のデータ(樹木の多様性、バイオマス)を、非生物的要因としては環境要因(緯度、経度、標高、降水量、気温)と土壌理化学性(炭素、窒素、CN比、水分含量、pH)を利用する。
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