研究課題/領域番号 |
21H02232
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研究機関 | 三重大学 |
研究代表者 |
松田 陽介 三重大学, 生物資源学研究科, 教授 (30324552)
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研究分担者 |
谷川 東子 名古屋大学, 生命農学研究科, 准教授 (10353765)
小長谷 啓介 国立研究開発法人森林研究・整備機構, 森林総合研究所, 主任研究員 等 (90612739)
北上 雄大 三重大学, 生物資源学研究科, 助教 (40882684)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 人工林 / スギ / 細根系 / 真菌類 / 細菌類 / 線虫 |
研究実績の概要 |
気候変動や山火事,土壌の酸性化などによる環境かく乱が,森林の生態系機能の低下を引き起こしている.私たちは,「樹木根」,「細根に共生する菌根菌」,「根圏に生息する細菌」,「微生物を食する土壌動物(線虫)」を根圏コンソーシアム(共同体)と捉え,土壌酸性化が本州中部のスギ人工林の根圏コンソーシアムを変遷させることを明らかにした.次の段階として,気候変動に対する根圏コンソーシアムの応答,そのメンバーに加えて新規に発見された「機能が不明な根内内生菌」の理解をする必要が生じた.そこで本課題では,気候の変化が樹木の根圏微生物コンソーシアムの枠組みや働きに及ぼす影響を明らかにするための調査研究を実施している. 当該年度では,とくにスギ細根から分離された内生菌がもつ酵素活性と宿主の生育に及ぼす影響を調べた.具体的には,スギ実生に内生菌各菌株を接種してから無機態窒素を含む1/100 MS 培地,有機態窒素として0.3 % BSA を施肥し,6 か月間育成した.回収したスギ実生の細根において菌糸体の確認ができた実生の平均総乾重量は,無接種の対照に対して最大で176 %,最小で78%となった.菌株を目レベルで分類すると,目ごとに生育が異なる傾向がみられ,特にビョウタケ目の平均総乾重量は対照と比較して最大で162%と増加傾向を示した.以上のことから,関わる内生菌の分類によりスギ実生の生育に及ぼす影響が異なり,それが菌株の窒素無機化能力に依存する可能性があると考えた.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
設定した計画どおりにおおむね進んでいる.調査対象としてる土壌の線虫,根圏の細菌・真菌類の群集に関して取りまとめを進めている.根内真菌類を用いて宿主樹木の生育に及ぼす影響をさらに調べる.
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今後の研究の推進方策 |
現在大きな問題はなく,最終年度として得られた成果を論文として取りまとめていく.具体的には,根圏微生物,菌根菌の原稿を作成,投稿する.
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