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2022 年度 実績報告書

樹木の土壌病害の早期発見手法の開発

研究課題

研究課題/領域番号 21H02241
研究機関国立研究開発法人森林研究・整備機構

研究代表者

矢崎 健一  国立研究開発法人森林研究・整備機構, 森林総合研究所, 主任研究員 等 (30353890)

研究分担者 佐橋 憲生  国立研究開発法人森林研究・整備機構, 森林総合研究所, 研究専門員 (10202102)
山口 宗義  国立研究開発法人森林研究・整備機構, 森林総合研究所, 主任研究員 等 (20353899)
才木 真太朗  国立研究開発法人森林研究・整備機構, 森林総合研究所, 研究員 (30824114)
半 智史  東京農工大学, (連合)農学研究科(研究院), 准教授 (40627709)
秋庭 満輝  国立研究開発法人森林研究・整備機構, 森林総合研究所, 主任研究員 等 (50353553)
太田 祐子  日本大学, 生物資源科学部, 教授 (60343802)
研究期間 (年度) 2021-04-01 – 2024-03-31
キーワード南根腐病 / 病徴診断 / 定量PCR / 病理解剖 / 小笠原
研究実績の概要

●小笠原の湿性高木林の構成樹種であるホルトノキの苗木を用いて、強病原性系統のPhellinus noxiusの接種試験を行った。接種した供試木をファイトトロン内で育成し、葉の蒸散、クロロフィル蛍光、分光特性などを定期的に測定した。また、葉の水ポテンシャルや根・幹・シュートの各通水機能を破壊的に測定、根を掘り出し、前年度に開発した定量PCR法によって根に侵入した病原菌量を定量した。その結果、根系の菌量は接種後約70日目まで指数的に増加し、その後なんらかの原因で減少した。菌量は減少したが約100日目に頂端の葉の萎凋・故損が観察された。このため、菌の増殖と症状の顕在化とには、タイムラグがあると考えられた。接種後の日数経過に伴い、非接種木に比べて接種木で蒸散および気孔コンダクタンスが低下した。また接種木で、光合成光化学系IIの量子収率(Fv/Fm)の低下や、葉の反射分光スペクトルより算出したPSRI(老化の指標)が、増加傾向にあった。接種木の各器官ごとの通水の機能は保たれていた。一方でSPACモデルをもとに水ポテンシャル勾配と蒸散速度から植物体全体の透水コンダクタンスを評価したところ、根表面からの吸水が低下する傾向にあった。気孔が閉鎖されていることとあわせると、ホルトノキ樹体内の水は菌の侵入により停滞したことが示唆される。
●Phellinus noxiusに感染した根を蛍光小麦麦芽レクチンで染色し、共焦点走査型レーザ顕微鏡にて、菌糸の侵入と根の組織構造との状態を観察したところ、各種細胞の細胞壁の破壊はほとんどみられない一方、菌糸が壁孔を経由して内部に進行している様子が観察された。
●小笠原の本病の被害地において、水利用効率を測定するためのサンプルを採取した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

ほぼ予定通りに進行している。

今後の研究の推進方策

機能タイプの異なる樹種を用いて同様の接種試験を行い、種間で反応を比較することで、本病への生理応答の普遍性や、耐性の違いを及ぼす生理特性を探索する。また、病徴の進行に対して主に気孔が応答することを踏まえ、本課題で蓄積した気孔コンダクタンスのデータセットから病徴の進行と関連する葉の特徴パラメータを探索する。さらに、通水ストレスが関与しない機能障害の要因を明らかにするため、葉の植物ホルモンの定量を行う。合わせて菌の根の組織内への侵入過程を解剖学的に観察し、侵入状況と生理反応との関連性を評価する。
迅速な罹病判定法であるLAMP法の有効性を、定量PCR法にて評価することで野外調査においての罹病判定を迅速化し、生理機能の測定と合わせて野外での被害地における診断を試みることで、本課題を総括する。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2023

すべて 学会発表 (1件)

  • [学会発表] 南根腐病に罹病した苗木の通水機能および気孔反応特性2023

    • 著者名/発表者名
      矢崎健一、佐橋憲生、山口宗義、張春花、鳥居正人、宮下俊一郎、飛田博順、才木真太朗、秋庭満輝、太田祐子
    • 学会等名
      第134回日本森林学会

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公開日: 2023-12-25  

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