研究課題/領域番号 |
21H02255
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
稲垣 哲也 名古屋大学, 生命農学研究科, 准教授 (70612878)
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研究分担者 |
土川 覚 名古屋大学, 生命農学研究科, 教授 (30227417)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | THz crystallography |
研究実績の概要 |
本研究では、「木材中のセルロース結晶領域をTHz時間領域分光法(THz-TDs)によって評価する新たな学問領域『THz cellulose crystallography』、すなわち木材のTHz透過スペクトルから結晶量・結晶構造・ミクロフィブリル傾角(MFA)を高精度計測するアルゴリズムを確立」することを目標としている。 2021年度には結晶量・結晶構造・ミクロフィブリル傾角(MFA)を高精度推定するために、さまざまな試料(木材、セルロース試料、疑似木材)についてTHzスペクトルおよびX線回折チャートを測定し、それぞれの性質について評価した。これによりTHz分光法を用いることで、結晶量と結晶構造についてはX線回折法よりも高精度に推定できることを示した。またMFAについては、(木材のラディアルストリップのMFAの連続測定が可能な)Silviscan測定を行っているところである。Silviscan測定完了後には、試料から板目面を切り出しTHz測定することで、THzスペクトルからのMFA推定を可能とする。また2次元ステッピングモーターを用意し、試料を走査させながらTHzスペクトルを測定する機構を構築した。これらが非常に円滑に進捗しているため、次年度からは様々な含水率状態にある木材の結晶性評価、熱処理による木材の結晶性変化の追跡およびイメージング測定による結晶の空間的分布の変化を把握することに挑戦する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
当初予定では、2021-2022年度で、木材のTHz透過スペクトルから結晶量・結晶構造・ミクロフィブリル傾角(MFA)を高精度計測するアルゴリズムを確立することとしていたが、結晶量・結晶構造についてはその目的をほぼ達成しているといってよい。またセルロース試料中の結晶性についてはその量的・質的性質はTHz分光法のほうがX線回折法よりも高精度で測定できることを示している。また木材試料についても全乾状態においては、結晶性を十分評価できることを示している。これらの結果をまとめ、3報の論文を発表した。中でもCellulose, 28, 5293-5304 (2021)では、当該論文が雑誌の表紙を飾った。
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今後の研究の推進方策 |
上記のように本研究の当初目標であった、「THz cellulose crystallography」の確立についてはかなり完成に近づいているといえる。今後は本法によるMFAの測定精度を確認し、本法により木材中の重要な結晶指標をすべて測定可能とする。その後、本法の応用可能性と木質科学領域の知見拡充のため、①イメージング機構を用いた木材中結晶領域の空間分布と熱処理による変化の観察、②様々な含水率状態にある木材の結晶性評価、③熱処理による木材の結晶性評価について研究を遂行する。これにより本法の有用性を広めることができ、本手法が汎用的に用いられることとなると期待している。
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