研究課題/領域番号 |
21H02259
|
研究機関 | 琉球大学 |
研究代表者 |
金子 哲 琉球大学, 農学部, 教授 (90343821)
|
研究分担者 |
中村 彰彦 静岡大学, 農学部, 准教授 (20752968)
五十嵐 圭日子 東京大学, 大学院農学生命科学研究科(農学部), 教授 (80345181)
|
研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
|
キーワード | ヘミセルロース / キシラン分解 |
研究実績の概要 |
Streptomyces olivaceoviridis E-86のゲノム配列情報を再解析し、キシラン分解に関わる配列を抽出した後、各ヘミセルラーゼ配列のクラスター解析を行った。Streptomyces olivaceoviridis E-86のゲノム上に見出された興味深い配列はGH2に唯一アラビノフラノシダーゼとして登録されている配列と類似しており,GH2の触媒モジュールに加え,C末端側にアラビナンやアラビノキシランの側鎖アラビノースに特異的に結合すると推定されるCBM42モジュールを有していた.本酵素遺伝子を大腸菌の系で発現させたところ,高発現で可溶性酵素が得られた.精製し,アラビノフラノシダーゼの基質であるPNP-α-L-アラビノフラノシドに作用させたところ,非常に微弱な分解活性を示した.市販のPNP-グリコシド基質を全て試したが,PNP-α-L-アラビノフラノシド以外の基質に対しては分解活性を示さなかった.そこで,アラビノオリゴ糖,アラビノキシラン等の天然基質にも作用させたが,非常に微弱なアラビノースを遊離する活性が確認された.補酵素や金属イオンの影響も検討したが,非常に微弱な活性は改善されなかった.しかしながら,PNP-α-L-アラビノフラノシドに対する活性は通常のアラビノフラノシダーゼが示す活性の1/1000程度であることから,違和感があったため,文献調査を進めたところ,β-D-ガラクトフラノシダーゼの可能性が示唆された.PNP-β-D-ガラクトフラノシドは市販されていなかったため,文献調査を進め,基質の合成方法をいくつか見出した.調べた方法によれば,有機合成を専門としない当研究室においても基質を調製できることが予想された.
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初の想定に反し,発現させたヘミセルラーゼがアミノ酸配列から推定された酵素活性を示さないことが判明した.研究の遂行上,真の活性を見出すことが不可欠であるが,基質は市販されておらず,文献調査が必要となったため,予算を繰り越した.研究計画を見直し,新たな基質を合成し,対象とするヘミセルロース分解酵素の正体を改名する必要が生じたため.
|
今後の研究の推進方策 |
PNP-β-D-ガラクトフラノシドを合成し,酵素活性を確かめるとともに,酵素の特製解析を進める.
|