研究課題/領域番号 |
21H02266
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
小池 一彦 広島大学, 統合生命科学研究科(生), 教授 (30265722)
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研究分担者 |
山下 洋 国立研究開発法人水産研究・教育機構, 水産技術研究所(長崎), 主任研究員 (00583147)
神保 充 北里大学, 海洋生命科学部, 教授 (10291650)
鈴木 豪 国立研究開発法人水産研究・教育機構, 水産技術研究所(長崎), 主任研究員 (30533319)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | シャコガイ / サンゴ礁 / 褐虫藻 / 八重干瀬 |
研究実績の概要 |
宮古島市池間島沿岸の水深約8mの海底に鉄筋のケージ(縦×100cm,横×200cm,高さ×40cm)を4台固定した後,2台の実験区のケージにはウスエダミドリイシの幼生(5日齢)が着底した角筒型着床具(縦×40mm,横×40mm,高さ×40mm)20個とヒレジャコ200 個体を設置した。それぞれの実験区から約20m離れた地点には,サンゴ幼生が着底した角筒型着床具のみを入れた対照区のケージを2台設置して,2022年5月から実験を開始した。環境中に存在する褐虫藻細胞密度と属組成を調べるため,設置直後にケージ直上の海水 2Lと直下の砂 50mLを採集した。実験開始前の5月にはヒレジャコ100個体分の糞を採集し,稚サンゴは実験開始前の5月,8月,10月,11月にそれぞれ採取した。試料(海水,砂,ヒレジャコの糞,稚サンゴ)から total DNA を抽出し,褐虫藻3属(Symbiodinium,Cladocopium,Durusdinium)の相対比をリアルタイム PCR 法により求めた。 実験開始前の 5 月の稚サンゴには,ごく微量の褐虫藻(Symbiodinium)のみが含まれ,8 月には Symbiodinium,Cladocopium,Durusdinium の存在比の平均が62.8%,13.6%,23.6%(実験区),75.8%,13.4%。10.8%(対照区),10 月には 1.3%, 28.3%,70.5%(実験区),6.3%,1.5%,92.2%(対照区),11 月には両区ともDurusdinium がほぼ 100%になった。実験開始から約1年後の稚サンゴの生残率は34.4%(実験区),28.1%(対照区)となり,ヒレジャコと混合飼育した実験区で若干高い生残率が認められた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
現地ダイバー組織や沖縄県の県事業とも連携し,一研究者ではなかなか困難な大型ケージの海中設置,サンゴ幼生の確保,シャコガイの大量飼育などが可能となった。
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今後の研究の推進方策 |
2023年度はこれまでのヒレジャコガイに加え,より飼育が容易で大量の褐虫藻を有するヒメジャコを用いて同様の実験を行う。また,サンゴの幼生も2022年度と同様にウスエダミドリイシを用いるが,より多くの付着基板を用意する予定にしている。
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