研究課題
選抜育種において過度な選抜は禁忌とされる。しかし、産業的には短期的な収益が得られる過度な選抜を伴う新規選抜法の開発に対する要望が強い。その実現には、集団中から有害変異を持つ個体を除去する必要がある。本研究では、ゲノミックセレクション法と強有害変異を持つ個体の除去を同時に行う養殖魚の新規近交系選抜育種法の開発に取り組む。そのために、まず、①マサバを主な材料として、染色体中に含まれる有害変異の網羅的検出法を確立する。次に、すでに申請者らが確立している高速多型判定技術により、②選抜候補個体が持つ有害変異を高速に判定する方法を確立する。最後に、③ゲノミックセレクション法と強有害変異除去を同時に行う選抜法を確立する。マサバ類の不漁などにより全体として計画が遅れたが、マサバの遺伝子注釈済み参照配列の構築と集団サンプルを用いたゲノムワイドシーケンスデータの取得と多型解析を完了し、これらのデータを使って従来から利用されているSNPeffを用いた有害変異の推定を進めている。また、参照配列が利用できる真骨魚ゲノム情報を用いて、真骨魚の超保存領域を特定し、GERPスコアなどを利用した保存領域上の変異の有害性推定を試みている。当初の計画ではゲノム情報が高度に整備されている魚種は8種程度であったが、近年のゲノム解析技術の向上や複数国で進められている全ゲノム解析プロジェクトの成果により100種以上の参照配列が利用可能になっている。このため、想定以上に大量の配列解析を行う必要が生じたため、完了には至っていない。保存領域上の変異の有害性推定が完了次第、マサバの集団データをもとに本種の有害変異の蓄積状況を解析する。
令和5年度が最終年度であるため、記入しない。
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Aquaculture
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10.1016/j.aquaculture.2024.740909
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