コロナ後の国際労働力移動と日本農業の受入競争力

2023 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 21H02301
• 研究機関: 北海学園大学
• 研究代表者: 宮入 隆 北海学園大学, 経済学部, 教授 (40422018)
• 研究分担者: 佐々木 貴文 北海道大学, 水産科学研究院, 准教授 (00518954) ; 上林 千恵子 法政大学, その他部局等, 名誉教授 (30255202) ; 大島 一二 桃山学院大学, 経済学部, 教授 (40194138) ; 安藤 光義 東京大学, 大学院農学生命科学研究科(農学部), 教授 (40261747) ; 桑原田 智之 農林水産省農林水産政策研究所, その他部局等, 研究員 (70832145) ; 堀口 健治 早稲田大学, 政治経済学術院, 名誉教授 (80041705) ; 大仲 克俊 岡山大学, 環境生命自然科学学域, 准教授 (80757378) ; 弦間 正彦 早稲田大学, 社会科学総合学術院, 教授 (90231729) ; 軍司 聖詞 福知山公立大学, 地域経営学部, 准教授 (40546751)
• 研究期間 (年度): 2021-04-01 – 2024-03-31
• キーワード: 外国人労働者 / 国際労働市場 / インドネシア / 派遣形態での雇用 / 大規模農業法人 / 給源国 / 特定技能制度 / 技能実習制度

研究実績の概要

ポストコロナを迎え、再び外国人労働者の雇用が急増をみせた2022年以降の動向変化を受けて、国内外の実態調査から新たな課題の析出を図ることが急務となった。国際労働市場において、日本は歴史的な円安傾向により、不利な状況に立たされることになった。しかし、それでも入国規制緩和後の外国人材の流入増は何を要因としているのか、とくに給源国側の事情を明らかにする必要があった。また、特定技能外国人の存在感が増しているなかで、産地では何を期待して受け入れているのか、雇用方式にどのような変化が現れているのか、国内産地の継続的な調査を行う必要もあった。
さらに2023年4月に突如として大きく報道された「技能実習制度廃止」の報道は、農業界に大きな衝撃を与えた。その後、代替する育成就労制度の創設も発表され、特定技能制度を軸、人材の確保と育成を行う体制整備が重要なことも明らかになった。
このような状況下で、本研究プロジェクトでは、海外調査として、インドネシアや英国への海外調査を実施し、とくに給源国としてのインドネシアは、急速に日本への人材送出しを増加させている国でもある。その要因についても明らかにした。他方で、北海道・茨城など外国人労働者の受入人数が多い地域で追跡調査を行った。その一方で、人数規模は小さいながら特徴的な動向をみせる沖縄県など新規事例地域の掘り起こしも行った。また、昨年度に新たな課題として浮上した個別経営における外国人材の役割や雇用方式の変化を探るため、群馬県の園芸作と加工事業を中心とした大規模法人経営に分担者の半数で共同調査を実施した。
以上の調査研究実績をまとめれば、技能実習制度から培われてきた日本独特の受入方式として、募集・選考段階からの関与と入国後の支援体制が、日本農業の国際競争力の原動力であり、安心して働ける環境作りを徹底し、選ばれ続ける地域と産業になることが必要であるといえる。

現在までの達成度 (段落)

令和5年度が最終年度であるため、記入しない。

今後の研究の推進方策

令和5年度が最終年度であるため、記入しない。

研究成果

• [雑誌論文] 日本の外国人労働力受け入れ制度の 変遷と課題 ー外国人技能実習制度の変更を中心にー (2024)
  • 著者名/発表者名: ティンティンカイン・大島一二
  • 雑誌名: 桃山学院大学経済経営論集 巻: 65 (4) ページ: 3-33
• [雑誌論文] 中国における都市と農村の教育格差の 実態と格差の再生産構造 －河北省邯鄲市の調査事例を中心にー (2024)
  • 著者名/発表者名: 王滋坤・大島一二
  • 雑誌名: 桃山学院大学経済経営論集 巻: 65 (3) ページ: 31-46
• [雑誌論文] 移民受け入れと戦後日本の政策転換~出入国管理政策と労働力確保政策を中心にして (2024)
  • 著者名/発表者名: 上林千恵子
  • 雑誌名: 連合総合生活開発研究所『DIO』 巻: 393 ページ: 8-12
• [雑誌論文] 大規模農業地域における外国人労働者の受入実態と課題 (2023)
  • 著者名/発表者名: 宮入 隆
  • 雑誌名: 農業経済研究 巻: 95 ページ: 91～106
  • DOI: 10.11472/nokei.95.91
  • 査読あり
• [雑誌論文] 「日本農業における外国人材受け入れの現状と課題」解題 (2023)
  • 著者名/発表者名: 堀口 健治
  • 雑誌名: 農業経済研究 巻: 95 ページ: 78～83
  • DOI: 10.11472/nokei.95.78
  • 査読あり
• [雑誌論文] 日本農業を支える外国人労働力の実状と動向－国内最多の農業従事外国人が働く大農業産地・茨城の現場から (2023)
  • 著者名/発表者名: 堀口健治
  • 雑誌名: 農村と都市をむすぶ 巻: 2023年11月号 ページ: 4-24
  • オープンアクセス
• [雑誌論文] インドネシア・バリ島で訓練生を面接する常総ひかり農協・農家そして実習前研修―送り出し団体と連携し時間と費用をかける技能実習生受入れの仕組みとその意義 (2023)
  • 著者名/発表者名: 堀口健治
  • 雑誌名: 農村と都市をむすぶ 巻: 2023年12月号 ページ: 34-45
• [雑誌論文] EU経済社会の持続可能性確保に向けたイニシアティブの実現への展望と日本への含意：農業・食料分野を事例として (2023)
  • 著者名/発表者名: 桑原田智之
  • 雑誌名: 日本EU学会年報 巻: 43 ページ: 96-120
• [雑誌論文] 農業分野の技能実習・特定技能の状況 (2023)
  • 著者名/発表者名: 安藤光義
  • 雑誌名: 移住連『Mネット』 巻: 229 ページ: 12-13
• [雑誌論文] 中国における農村・都市間 労働力移動現象の実態と課題 ー 河南省の農村労働力移動の現状を中心にー (2023)
  • 著者名/発表者名: 楊嘯宇・大島一二
  • 雑誌名: 桃山学院大学経済経営論集 巻: 65 (2) ページ: 1-18
• [雑誌論文] 水田農業で儲かる農業(3)岡山県の児島湾周辺平坦部:農業マーケティングの新機軸 : 儲かる農業の実現(9) (2023)
  • 著者名/発表者名: 大仲克俊
  • 雑誌名: 週刊農林 巻: 2530 ページ: 4-5
• [雑誌論文] 岡山県の儲かる果樹農業と新規就農者(2)農業マーケティングの新機軸:儲かる農業の実現(6) (2023)
  • 著者名/発表者名: 大仲克俊
  • 雑誌名: 週刊農林 巻: 2527 ページ: 6-7
• [雑誌論文] 地域連携を通じた農産物のブランド戦略(1)農業マーケティングの新機軸:儲かる農業の実現(2) (2023)
  • 著者名/発表者名: 大仲克俊
  • 雑誌名: 週刊農林 巻: 2522 ページ: 6-7
• [雑誌論文] 外国人技能実習制度の改革に伴う論点～職種・業種の受け入れ範囲と地方圏の雇用ニーズ (2023)
  • 著者名/発表者名: 上林千恵子
  • 雑誌名: 太陽グラントソントン『エグゼクティブ・ニュース』 巻: 244 ページ: 1-10
• [雑誌論文] 移住労働者の権利保護と移民管理政策の相克 (2023)
  • 著者名/発表者名: 上林千恵子
  • 雑誌名: 大原社会問題研究所雑誌 巻: 779/780 ページ: 80-84
• [雑誌論文] 漁業・水産加工業で働く外国人と地域社会 (2023)
  • 著者名/発表者名: 佐々木貴文
  • 雑誌名: 都市問題 巻: 114(11) ページ: 98-108
• [学会発表] 北海道農業における特定技能制度の多面的活用の実態と課題 (2024)
  • 著者名/発表者名: 宮入隆・東山寛
  • 学会等名: 日本農業経済学会2024年度大会特別セッション2
• [学会発表] 茨城県にみる農業従事外国人受入れの強みと人材育成・キャリアアップを踏まえたコロナ後の量的質的増加：技能実習・「育成就労」、特定技能1号への継続拡大そして家族帯同が可能な2号への質的展開 (2024)
  • 著者名/発表者名: 堀口健治
  • 学会等名: 日本農業経済学会2024年度大会特別セッション2
• [学会発表] 日本における外国人労働力調達の変遷と国際労働力移動におけるコロナ禍の影響 (2024)
  • 著者名/発表者名: 軍司聖詞
  • 学会等名: 日本農業経済学会2024年度大会特別セッション2
• [学会発表] コメント (2024)
  • 著者名/発表者名: 安藤光義
  • 学会等名: 日本農業経済学会2024年度大会特別セッション2
• [学会発表] 農協集出荷施設における外国人材雇用の進展と課題 (2023)
  • 著者名/発表者名: 宮入隆・東山寛
  • 学会等名: 日本農業市場学会2023年度大会
• [学会発表] 地方農村における外国人労働者の雇用と生活の現在－北海道を中心に－ (2023)
  • 著者名/発表者名: 宮入隆
  • 学会等名: 日本社会教育学会九州・沖縄地区2023年度六月集会
• [学会発表] 地方圏における外国人労働者の受け入れ（１）外国人労働者雇用にみる大企業と中小企業の違い~島根県出雲市の事例を中心に (2023)
  • 著者名/発表者名: 上林千恵子
  • 学会等名: 第96回日本社会学会大会
• [学会発表] 安全保障の視点からみた日本漁業の労働力問題 (2023)
  • 著者名/発表者名: 佐々木貴文
  • 学会等名: 漁業経済学会2023年シンポジウム