研究課題
我々が単離した Nrk (Nik ; Nck-interacting kinase related kinase) 遺伝子KO (Knock Out) マウスは胎盤肥大と分娩遅延を呈し、その表現系は 分娩タイミングの異常 を呈した。NRKが分娩のタイミングを司る因子である可能性が極めて高いと想定し、本研究は、Nrk KOマウスの胎盤に発現する下位遺伝子をプロファイルすることで、正常な妊娠維持から分娩発来への切り替え因子を検索し、分娩調整機構を明らかにすることを目的とした。マウスとヒト胎盤を用いて、Nrk 遺伝子が母体血液と接する迷路層栄養膜細胞 (Trophoblastic giant cells; TGCs, Syncytio trophoblast; Syn-T)で発現することを明らかにし、ヒトと保存された妊娠維持機能を担う可能性を示した。妊娠維持から分娩の切り替えには、プロジェステロン (P4) の急速変化などの全身性応答と、オキシオトシンやプロスタグランジンなどの子宮局所反応の両側面によって誘導されるが、Nrk 遺伝子KO個体では、マウス特異的Placental Lactogen II ホルモンとその下位の P4 の母体血清値が分娩開始前に下がりきらず、そのため分娩遅延となることを生化学的解析と Nrk KO を用いたシングルセルの結果から明らかにした (Yomogita et al., J Dev Biol 2022, J Rep Fert 2023 )。今後、マウス KOから得られた Nrk 下位遺伝子からヒトに対して横断的に病態解明について研究し、マウス時から得られた標的データからヒト胎盤と共通する生物現象を抽出することで、早産治療に寄与することが期待される。
令和5年度が最終年度であるため、記入しない。
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J Reprod Dev
巻: 69(1) ページ: 32-40
10.1262/jrd.2022-120.
J Dev Biol .
巻: 10(2) ページ: 20
10.3390/jdb10020020.