研究課題
歴史的に発生工学技術の開発により、多くの有用なヒト疾患モデル動物が作出され、医学・生物学の発展に貢献してきた。特に2013年に報告されたCRISPR/Cas9による受精卵ゲノムの遺伝子操作によってノックアウト個体を簡便に作出することが可能となり(Wang et al., Cell, 2013)、外来DNAをノックインすることも低効率ながらも可能になってきたものの、中型動物では依然として外来遺伝子の発現のためにはトランスジェニック(Tg)作製技術が主流となっている。しかし、外来DNA断片をゲノムに挿入するTg作製技術は、1980年に開発された受精卵の前核に線状化DNAを顕微注入する方法が40年以上に渡って世界的に使用されているものの、その効率は数%-数十%と低いことが課題であった。さらに、100kbを超える長大なDNA(BAC(Bacterial artificial chromosome)Tgなど)になると作出効率がさらに低下してしまうことも課題であった。このようにTg作製技術の課題を広く俯瞰し、全く新しいTg作製手法の開発が必要と考えられた。 20年程前からSleeping beauty, PiggyBac, Tol2などのトランスポザーゼが発見され、ゲノムにDNAを組み込む活性に着目して、Tg動物の作製に用いられてきたが、Tgを持つ細胞と持たない細胞から成るモザイク個体が得られてしまうことと、異なる場所に挿入される課題があるため、Tg作製の現場では殆ど使用されていない。そこで、引き続いて比較的短いトランスジーンを用いてトランスジェニックマウスの作製に取り組み、モザイク性を評価したところ、2細胞期以降に組み込まれたトランスジーンを確認した。また、マウスゲノムに組み込まれたトランスジーンの位置を次世代シークエンサーで決定したところ、遺伝子が存在するgene body領域だけでなく、遺伝子間領域にも分布していた。
令和5年度が最終年度であるため、記入しない。
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bioRxiv
巻: 10 ページ: 1-10
10.1101/2023.12.10.570953