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2021 年度 実績報告書

Tudorドメイン蛋白質群が関与するpiRNA生合成とヌアージュ形成機構の解明

研究課題

研究課題/領域番号 21H02401
研究機関大阪大学

研究代表者

甲斐 歳恵  大阪大学, 生命機能研究科, 教授 (40579786)

研究期間 (年度) 2021-04-01 – 2024-03-31
キーワード生殖細胞 / 小分子RNA / piRNA
研究実績の概要

染色体の欠損や転座、挿入変異等によってゲノム情報を破壊する転移因子・トランスポゾンは、piRNAと呼ばれる小分子RNAによって抑制されている。piRNA前駆体から成熟piRNAへのプロセシングは多くの蛋白質が関与する複雑なプロセスであり、酵素活性をもつ因子の解析は進んでいるが、酵素活性を制御、または連携させる機構については不明な点が多い。生殖細胞でのpiRNA産生は、核膜近傍の細胞質側に存在するヌアージュという非膜系構造体で起こる。本研究課題では、ヌアージュでのpiRNAプロセシングに関与するTudorドメイン蛋白質(Tdrd)群の分子機能を解析している。2021年度では、Tdrd1タンパク質がヌアージュに局在し、その変異体の卵巣や精巣ではpiRNAが若干減少することから、Tdrd1は、piRNA経路をより堅固にするために補助的に機能していることを論文で発表した。また、piRNA経路因子であるTdrd5がRNAヘリカーぜでもあるTdrd9およびpiRNA前駆体のヌアージュへのリクルートに昨日していること、それらがpiRNAの生合成に必須であることを明らかにした。これらの成果をまとめた論文を投稿準備中である。また、Tdrd4のユビキチン活性中心であるRINGモチーフが、Tdrd4のヌアージュへの局在や、piRNA経路での機能に必須であることも明らかにし、変異体卵巣粗抽出液でユビキチン化タンパク質が減少していることも見出した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

【piRNAピンポン増幅におけるTdrd5とTdrd9の機能解析】
「近位依存性ビオチン標識」(BioID)法を用いてTdrd5とTdrd9の結合因子を探索し、その複合体の形成機構を包括的に解析する。piRNA経路の中心的役割を担うPIWIファミリータンパク質のAub, Piwi, Ago3 については、mTurbo(ビオチン化活性中心)のキメラタンパク質を生体内で発現させ、ビオチン化されたタンパク質を回収することに成功した。
【piRNA経路におけるTdrd4の機能解析】
ピンポン増幅に機能するTdrd蛋白質の1つTdrd4は、ユビキチン化経路に関与するE3リガーゼの特徴であるRING fingerモチーフを有している。ユビキチンと高い親和性で結合する人工蛋白質・TUBE(Tandem UbiquitinBinding Entity)ビーズを用いてユビキチン化された蛋白質を沈降したところ、
既知のpiRNA経路因子を含む基質候補タンパク質が得られた。

今後の研究の推進方策

【piRNAピンポン増幅におけるTdrd5とTdrd9の機能解析】
BioID法により、piRNA 経路の中心的役割を担うPIWIファミリータンパク質のAub, Piwi, Ago3と相互作用しうるタンパク質の網羅的解析の解析を2022年度前半に終える。それらの結果を踏まえた上で、同じ手法によって(遺伝学的に生殖細胞の分化が起こらないような腫瘍状態)行う計画である。また
piRNA経路に抑制的に機能すると示唆されているRNAヘリカーゼのBelle(マウスPL10、ヒトDDX3 ホモログ)についても、Tdrd9-Tdrd5の相互作用との関連を念頭に、遺伝学的解析及び生化学的解析を開始し、ヌアージュ形成との関与を解析する。
【piRNA経路におけるTdrd4の機能解析】
前年度で得られた、Tdrd4ユビキチンリガーゼの基質候補の解析を進めるTdrd4がこれらのユビキチン化に関与しているか、変異体卵巣でのTdrd4ユビキチン化や、試験管内でのユビキチン化アッセイによって検証する。また、特にpiRNA経路因子の基質候補については、ユビキチン化部位の変異体を作成し、そのpiRNA生合成における影響を検証する。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2022 2021

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (1件)

  • [雑誌論文] The Tudor Domain-Containing Protein, Kotsubu (CG9925), Localizes to the Nuage and Functions in piRNA Biogenesis in D. melanogaster2022

    • 著者名/発表者名
      Lim Lin-Xenia, Isshiki Wakana, Iki Taichiro, Kawaguchi Shinichi, Kai Toshie
    • 雑誌名

      Frontiers in Molecular Biosciences

      巻: 9 ページ: -

    • DOI

      10.3389/fmolb.2022.818302

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [学会発表] ショウジョウバエにおけるTejasとSpn-EによるpiRNA生合成のためのヌアージュ構築の分子基盤2021

    • 著者名/発表者名
      Lin Yuxuan, Kawaguchi Shinichi, Iki Taichiro, Suyama Ritsuko, Kai Toshie
    • 学会等名
      第44回分子生物学会年会

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公開日: 2022-12-28  

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