研究実績の概要 |
Long non-coding RNA(lncRNA)の定義は「タンパク質をコードしない200塩基以上のRNA」とされているが、われわれはこれまでに、一部のlncRNAがポリペプチドを翻訳することを明らかにしてきた。 [Matsumoto et al., Nature 541: 228-232 (2017)]。この発見は、これはどのようなRNAが翻訳され、どのようなRNAが翻訳されないのかということを規定する原理が不明であるために、coding RNAをnon-coding RNAと誤分類していたということを意味する。 既存のRibo-seqはlncRNAが翻訳されているかの検討に有用な手法ではあるが、ノイズによる偽陽性(non-coding RNAをcoding RNAと誤同定する)が問題であった。そこでわれわれは、翻訳プロファイリング法を用いてRibo-seqの偽陽性を劇的に減少させる手法を開発した。この手法を用いることにより、Ribo-seqの偽陽性を大幅に減少させ、正確なcoding/non-coding RNAの分類が可能となった。 これまでに、翻訳プロファイリングによりさまざまなRNAの性質を解析する過程において、5’capを持たないRNA群を同定した。cap構造を持たないため、当初は翻訳されていない可能性が予想されたが、予想に反してリボソームとの強い相互作用が観察された。そこで、このようなRNAを人工的に発現させるレポーター系の構築を行なった。これにより今後どのような因子がこのようなRNAの産生を引き起こすのか、またこれらRNAが本当に翻訳されるのかなどの検討が可能となった。
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