研究課題
狂犬病RVPC,麻疹MVV,各種STAT分子(リン酸化・非リン酸化)全ての蛋白質調製に成功し,性状評価系(狂犬病RVPCに関しては蛍光偏光解消法やNMR,麻疹MVVに関しては,表面プラズモン共鳴,熱力学測定,ゲル濾過クロマトグラフィ,超遠心分析)により,相互作用を精査した。狂犬病RVPCとリン酸化STAT1との結合最小領域を同定し,また,この結合はリン酸化STAT1とGAS DNA配列との結合を競合阻害することがわかった。このため,リン酸化STAT1とGAS DNA配列とのクライオ電子顕微鏡構造解析および,リン酸化STAT1と狂犬病RVPCとの複合体構造解析を目指し,構造解析に至った。得られた結果は,リン酸化STAT1の四量体の構造を,初めて明らかにするものであり,狂犬病RVPCは,リン酸化STAT1四量体を真のターゲットとしていることが明らかになった。実際,STAT1が長いDNAに結合する際には,現在のコンパクトな四量体コンフォメーションから,ストレッチしたコンフォメーションへ変化するモデルを提唱した。また,狂犬病RVPCと,リン酸化STAT1四量体との複合体解析からは,STAT1とRVPCとの結合箇所が複数あることや,STAT1-STAT2およびSTAT1-STAT3複合体にどのようにRVPCが結合するかの考察ができるようになった。一方で,麻疹MVVがSTAT2と相互作用する領域に関しては,以前の熱力学測定の結果,VC221以降の領域であることをつきとめていたが,さらに短い,VC230を作製し,STAT2との相互作用を確認することができた。また,VC221を単独で構造解析するため,NMR測定条件を検討し,ジオール添加条件で3次元測定を行い,構造解析中である。
令和5年度が最終年度であるため、記入しない。
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