研究課題
統合失調症の治療薬として使われる抗精神病薬は、ドパミンD2受容体(D2R)やセロトニン2A受容体(5-HT2AR)を不活性化する逆作動薬だが、過剰な不活性化による錐体外路症状などの副作用がある。最近、D2RなどのGタンパク質共役型受容体(GPCR)は、逆作動薬の効力(不活性化の程度)の強弱に応じて複数の不活性型構造を持つことが示唆されたが、その詳細は不明である。これまでに我々を含めいくつかのグループが、完全逆作動薬が結合した状態のD2Rおよび5-HT2ARの不活性型構造の構造解析に成功している。本研究では、D2Rと5-HT2ARについて、効力が異なる部分逆作動薬との複合体およびリガンドの結合していない状態の構造の構造解析を行い、立体構造の観点から逆作動薬により効力が異なる仕組みの解明を目指す。複数の不活性型構造の解明は、構造情報を利用した合理的な創薬の成功率を上げると期待される。本年度はリガンドとの複合体を安定化するための条件検討を行った。そのため、細胞内第3ループに水溶性蛋白質を挿入させる部位の検討や抗体作製などを行い、従来のコンストラクトと同等以上の熱安定性を示すコンストラクトを選定できた。
2: おおむね順調に進展している
概ね、計画どおりに進んでいるため。
作製したコンストラクトや抗体を利用し、各種リガンドとの複合体の結晶化条件を検討する。また、電子顕微鏡による構造解析の条件も検討する。データを取得したら構造解析も進める。
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