• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2021 年度 実績報告書

スプライシング異常細胞を排除する「細胞の品質管理機構」の解明

研究課題

研究課題/領域番号 21H02423
研究機関富山大学

研究代表者

甲斐田 大輔  富山大学, 学術研究部医学系, 准教授 (60415122)

研究分担者 高崎 一朗  富山大学, 学術研究部工学系, 准教授 (00397176)
岩崎 信太郎  国立研究開発法人理化学研究所, 開拓研究本部, 主任研究員 (80611441)
研究期間 (年度) 2021-04-01 – 2024-03-31
キーワードスプライシング / mRNA / 細胞周期
研究実績の概要

本年度は、スプライシング阻害時に細胞周期関連因子の発現が減少することにより細胞周期がG1期に停止することを見出した。また、遺伝子発現低下の分子メカニズムを解析したところ、これらの遺伝子から転写されたmRNA量が減少し、その結果細胞周期関連タンパク質の量が低下することが明らかとなった。さらに、スプライシング異常はこれらの遺伝子の転写開始には影響を与えなかったものの、転写伸長を抑制することでmRNA量を減少させることが明らかとなった。これらのことから、スプライシングに異常が生じた細胞では、細胞周期関連遺伝子の転写伸長が抑制され、スプライシング異常細胞の増殖が抑制されるという、細胞の品質管理機構が働いていることを明らかとした。
加えて、スプライシング阻害剤によりスプライシングを阻害することにより、スプライソソームの構成因子であるU1 snRNPがpre-mRNA上に係留されリサイクルされず、新しく転写されたpre-mRNAに結合できるU1 snRNPの量が減少することが明らかとなった。その結果、u1 snRNPを阻害した際と同様に、転写途中の新規合成mRNAが異常な切断とポリA化を受けることが明らかとなった。このような短いmRNAが翻訳されることにより、C末端トランケート型タンパク質が産生されることがわかった。このようなトランケート型タンパク質も細胞の品質管理機構に関わっていると考えられる。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

本年度は、スプライシング阻害時に細胞周期関連遺伝子の発現が低下し細胞周期が停止するメカニズムや、スプライシング阻害時にmRNAが異常な切断とポリA化を受けることを明らかにし、論文を2報報告できたため。

今後の研究の推進方策

今後は、pre-mRNA由来のトランケート型タンパク質の生理機能の解析や、細胞周期停止機構の更なる解明をすることで、スプライシング異常細胞を体内から排除する細胞の品質管理機構の更なる理解を目指す。

  • 研究成果

    (8件)

すべて 2021

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (5件) 図書 (1件)

  • [雑誌論文] CCNE1 and E2F1 Partially Suppress G1 Phase Arrest Caused by Spliceostatin A Treatment2021

    • 著者名/発表者名
      Kei Kikuchi, Daisuke Kaida
    • 雑誌名

      Int. J. Mol. Sci.

      巻: 22 ページ: 11623

    • DOI

      10.3390/ijms222111623

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] Spliceostatin A interaction with SF3B limits U1 snRNP availability and causes premature cleavage and polyadenylation2021

    • 著者名/発表者名
      Rei Yoshimoto, Jagat K Chhipi-Shrestha, Tilman Schneider-Poetsch, Masaaki Furuno, A Maxwell Burroughs, Shohei Noma, Harukazu Suzuki, Yoshihide Hayashizaki, Akila Mayeda, Shinichi Nakagawa, Daisuke Kaida, Shintaro Iwasaki, Minoru Yoshida
    • 雑誌名

      Cell Chem Biol

      巻: 28 ページ: 1356-1365

    • DOI

      10.1016/j.chembiol.2021.03.002

    • 査読あり
  • [学会発表] Rbm38がスプライシング阻害による転写伸長抑制を解除する機序の解明2021

    • 著者名/発表者名
      中井結衣子、甲斐田大輔
    • 学会等名
      日本生化学会北陸支部第39回大会
  • [学会発表] Truncated proteins which are produced by pre-mRNA translation protect our body from splicing abnormality2021

    • 著者名/発表者名
      Daisuke Kaida, Ken Ishida, Takayuki Satoh
    • 学会等名
      第22回 日本RNA学会年会
  • [学会発表] Comprehensive understanding of the molecular mechanisms of cell cycle arrest caused by splicing inhibition2021

    • 著者名/発表者名
      甲斐田大輔
    • 学会等名
      第44回 日本分子生物学会年会
  • [学会発表] スプライシング阻害によるG1停止機構の解明2021

    • 著者名/発表者名
      菊池啓、甲斐田大輔
    • 学会等名
      第44回 日本分子生物学会年会
  • [学会発表] Rbm38がスプライシング阻害による転写伸長抑制を解除するメカニズム2021

    • 著者名/発表者名
      中井結衣子、甲斐田大輔
    • 学会等名
      第44回 日本分子生物学会年会
  • [図書] ヒトゲノム事典2021

    • 著者名/発表者名
      甲斐田大輔
    • 総ページ数
      448
    • 出版者
      一色出版
    • ISBN
      978-4-910389-12-7

URL: 

公開日: 2023-12-25  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi