研究課題
本研究では、高精度1分子・超解像顕微鏡観察技術に基づき、生細胞膜上で糖脂質は糖鎖間相互作用により、GPIアンカー型タンパク質は細胞外タンパク質間相互作用により、機能性集合体を誘起し、ラフト脂質がそれを安定化するという概念を検証する。さらに、このような複合体自体を集める大きな膜領域(階層構造)が存在するかを検証する。もし、階層構造がある場合は、その形成機構を明らかにすることを目的としている。今まで、糖脂質ガングリオシド蛍光プローブがなかったために、生細胞膜上の糖脂質ガングリオシドの動態研究は皆無であった。しかし、我々は8種のガングリオシド蛍光プローブを開発し、上記課題に挑んだ。昨年度までに、様々なGPIアンカー型タンパク質の超解像ライブセルイメージングを行い、タンパク質相互作用と側方方向の脂質相互作用がGPIアンカー型タンパク質ドメイン形成を誘起することを見出した。また、アクチン結合した内層リン脂質がドメイン形成を促進することも見出した。当該年度は、階層構造の存在を検証するために、GPIアンカー型タンパク質のダイマー形成が膜内層リン脂質ドメインと重なる外層領域で起きやすいかどうかを調べた。そのため、内層リン脂質を超解像観察しながら、GPIアンカー型タンパク質を1分子観察した。結果、GPI-アンカー型タンパク質が、膜内層リン脂質ドメインと重なる外層領域で短寿命のホモダイマーを形成する様子が確認できた。この結果は、階層構造の存在を示唆している。
令和5年度が最終年度であるため、記入しない。
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