研究課題/領域番号 |
21H02431
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研究機関 | 杏林大学 |
研究代表者 |
今泉 美佳 杏林大学, 医学部, 教授 (40201941)
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研究分担者 |
青柳 共太 杏林大学, 医学部, 講師 (50453527)
木下 専 名古屋大学, 理学研究科, 教授 (30273460)
大塚 稔久 山梨大学, 大学院総合研究部, 教授 (40401806)
安田 和基 杏林大学, 医学部, 教授 (80311611)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | インスリン開口分泌 / 2相性インスリン分泌 / アクティブゾーンタンパク質 / セプチン / 極性分泌 |
研究実績の概要 |
毛細血管側のβ細胞膜領域に局在しているセプチン重合体によるインスリン極性分泌調節について、セプチン重合体の必須分子であるセプチン7遺伝子の膵β細胞特異的ノックアウトマウス(セプチン7-βKOマウス)を作成して研究を行った。セプチン7-βKOマウスから調製した単離膵島のイムノブロット実験では、セプチン7をはじめ重合体を形成している他のセプチンメンバーの発現も低下しており、また免疫染色において毛細血管側β細胞膜に局在するセプチン重合体の発現低下を確認した。セプチン7-βKOマウス単離膵島でのインスリン分泌測定実験ではグルコース応答性インスリン分泌が有意に低下していたが、この時β細胞内Ca2+上昇はKOの影響を受けていないことをFura-2法により確認した。 グルコース刺激下での2相性のインスリン顆粒開口分泌おけるセプチン重合体の役割を調べるため、TIRF顕微鏡による開口分泌可視化解析を行った所、セプチン7-βKO細胞では第1相で見られるpredockedインスリン顆粒開口分泌には影響がなかったが、第2相で見られるnewcomerインスリン顆粒開口分泌が選択的に低下しており、セプチン重合体は第2相開口分泌を促進していることがわかった。MIN6β細胞とセプチン7抗体を用いた免疫沈降実験試料のLC-MS/MS解析結果を行った所、ミオシン2a/2bが検出された。リコンビナントタンパクによるpull-down実験より、セプチン7はミオシン2a/2bのcoiled-coilドメインに直接結合していること、またセプチン7はミオシン軽鎖のリン酸化を促進することを明らかにした。以上の結果より、セプチン重合体はミオシン2a/2bに直接結合し、ミオシン軽鎖リン酸化の促進を介してミオシン2a/2bを活性化させることでnewcomer顆粒による第2相インスリン極性開口分泌を調節していることが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
セプチン7遺伝子の膵β細胞特異的ノックアウトマウスを新規作成し、マウスから調製した膵β細胞からのインスリン顆粒開口分泌解析により、セプチン重合体がnewcomer顆粒による第2相インスリン開口分泌を促進していることを明らかにできた。
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今後の研究の推進方策 |
セプチン重合体がミオシン2a/2b活性化を介してどのような分子機構で第2相インスリン極性開口分泌を調節しているのかを明らかにする。また、極性分泌部位でのアクティブゾーンタンパク質複合体の実態と第1相インスリン極性分泌への制御機構を明らかにする。
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