研究課題
代表者らはクロマチンの集合体が、従来広く描かれていたようなクロマチン線維がループ状に束ねられたものではなく、コンパクトな塊のようなドメインであるという仮説を提唱している。本研究課題では、ユークロマチン領域を蛍光修飾し、修飾領域のヌクレオソームの新規1分子イメージング、計算機シミュレーションを組み合わせ、クロマチンの集合体のなかのヌクレオソームの動きを可視化し、その動きを解析することでこの仮説を検証する。さらにこのドメインが液滴様構造体であるかも合わせて検証する。今年度は(1)集合体内の近接した2分子のヌクレオソームを蛍光ヌクレオチドにより標識する技術の確立と、(2)2色標識によるヌクレオ ソームイメージングと解析技術の確立をおこなった。具体的には以下の通りである。 (1)非常に低濃度の蛍光ヌクレオチド(緑Alexa488-d UTPと赤Cy3-dCTP)をヒトHeLa細胞などに導入すると、200kbサイズに対応する領域のゲノムDNAが単一ヌクレオチドレベルでランダムに標識され、近接した2分子のヌクレオソームを緑・赤で蛍光識別することが可能となった。 (2)緑標識ヌクレオソームと赤標識ヌクレオソームを同時に精度良く2色イメージングできる光学系を確立した。そして、得られた画像データから、近接した緑・赤色で標識されたヌクレオソームのペアを抽出し、それぞれの動きを高精度で追跡し、追跡したペアの動きの大きさ, 空間相関を検定をおこなった。
2: おおむね順調に進展している
ヌクレオソーム集合体内の近接した2分子のヌクレオソームを蛍光ヌクレオチドにより標識する技術の確立と2色標識によるヌクレオソームイメージングと解析技術の確立に成功した。さらに蛍光輝点が1段階褪色するか否かによって、ヌクレオソームが1分子標識であることを証明できたため。
計画は概ね順調に遂行できたため、さらに大量に画像デー タを得て、近接した緑・赤色で標識されたヌクレオソームのペアを抽出し、それぞれの動きを高精度で追跡する。そして追跡したペアの動きの大きさ、空間相関を検定をおこない、ユークロマチンドメインの形状、サイズの推定をおこなう。
すべて 2021 その他
すべて 国際共同研究 (4件) 雑誌論文 (8件) (うち国際共著 4件、 査読あり 8件、 オープンアクセス 7件) 学会発表 (2件) (うち国際学会 1件、 招待講演 2件)
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