今後の研究の推進方策 |
前年からの継続で、がん細胞株群を用いた細胞株選択的プロテオフォーム制御機構解明を行う。代表者が研究代表者を務めるプロテオームデータリポジトリjPOSTは、JSTライフサイエンスデータベースプロジェクトで、ヒトゲノム/遺伝子, 遺伝的多様性, エピジェネティクス, RNA情報を集積したデータベースであるDBKERO (http://kero.hgc.jp)と連携している。DBKEROにはヒト非小細胞肺がん細胞株26種について徹底的に測定したRNAデータがコアデータとして格納されている(選択的スプライシングデータ、ゲノム変異データなどを含む)。この研究チームと連携し、同一条件の試料を調製した後、入手可能な非小細胞肺がん細胞株13種についてプロテオーム規模でプロテオフォームデータを取得する。N, C末端プロテオームデータ、分子量分画プロテオーム解析データ、培養上清も含めた細胞内小器官別プロテオーム解析データ、パルスラベルSILAC法を用いてタンパク質合成・分解を区別したプロテオームデータなどを取得する。得られたデータについて、トランスクリプトーム―プロテオーム相関解析に加え、プロテオフォームやさらにその構成因子との相関について解析をおこなう。 さらに、異なる組織由来の10種のがん細胞株のectodomain shedding研究において、我々はすでに、培養上清の末端プロテオミクスにより、内在性プロテオリシス産物としてN末端5,952種、C末端5,848種を同定することに成功している。この試料についても、大規模プロテオフォーム解析を行う。 さらに、マウス組織を用いた組織選択的プロテオフォーム制御機構解明に着手する。マウスから組織別にタンパク質を抽出し、大規模高深度プロテオフォーム解析を行い、組織ごとに特異的なプロテオフォームが発現しているかどうかを検討する。
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