研究課題/領域番号 |
21H02461
|
研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
原 昌稔 大阪大学, 生命機能研究科, 助教 (30565099)
|
研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
|
キーワード | セントロメア / クロマチン構造 |
研究実績の概要 |
ゲノムDNAの機能発現には、クロマチン構造とその制御が重要である。セントロメアは、細胞分裂に伴うゲノムDNAの分配過程に必須なゲノム領域であり、自身の上にキネトコア複合体を構築し、染色体と紡錘体微小管との結合を確立する。これまでに、セントロメアは、局所的にユニークなクロマチン構造を形成し、それが機能発現に重要であると考えられてきた。しかし、一般的にセントロメアは高度な反復DNA配列をもつため、どのようにユニークなセントロメアクロマチン構造が形作られるかを定量的に調べるが困難であった。` 以前、所属研究室では、染色体腕部に異所的なセントロメア (ネオセントロメア) を持つニワトリDT40細胞を確立している。この細胞のネオセントロメアは、非反復DNA配列領域に形成されている。一方で、野生型の細胞のその領域はセントロメアを持たない。そのため、野生型細胞をコントロールとすることで、セントロメアがある時とない時の同一ゲノム領域のクロマチン構造を比較できる。この特徴を生かし、セントロメアクロマチン構造を3C-qPCRにより定量的に評価する系を構築し、最適化した。その結果、ネオセントロメアのクロマチン構造を、3C-qPCR法により定量的に検出できた。つぎに、このクロマチン構造がどのように作られるかを調べるために、セントロメア結合タンパク質をノックアウトして、ネオセントロメアに対し、3C-qPCRを行ったところ、そのシグナルが減少した。このことは、セントロメア結合タンパク質がネオセントロメアクロマチン構造形成に重要であることを意味している。ニワトリのZ性染色体の内在性セントロメアは、ユニークなDNA配列を持つ。そこで、3C-qPCRにより、そのクロマチン構造を調べると、内在性セントロメアも、セントロメアタンパク質依存的に、ユニークなクロマチン構造を形成することが明らかとなった。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
3C-qPCR法を用いたセントロメアクロマチン構造を定量的に評価できる実験系を確立し、異所的に形成されたセントロメア (ネオセントロメア) およびZ染色体の内在性セントロメアのクロマチンが、セントロメア結合タンパク質依存的に、ユニークなクロマチン構造をとることを明らかにした。さらに、そのセントロメアタンパク質のドメイン解析を行い、セントロメアクロマチン構造形成に重要なドメインを決定できた。そのため、プロジェクトはおおむね順調に進展しているといえる。
|
今後の研究の推進方策 |
現在のセントロメアクロマチン構造の評価は、細胞周期が非同調の細胞をもちいて行なっている。次は、細胞周期の各位相依存的なセントロメアクロマチンの構造変化があるかを調べる。また、もし構造変化があるときは、それがどのように引き起こされるかを明らかにする。
|