リソソームは球状のオルガネラであるが、特定の条件下では形態を変化させることが知られている。しかしながら、そのメカニズムや機能は十分に明らかにされていない。私は、変態期のショウジョウバエの腹部筋細胞に管状のリソソームネットワークが形成されることを見出した。本研究では、ショウジョウバエの遺伝学やトランスクリプトーム解析などを駆使し、筋細胞に見られる管状リソソームネットワークの形成メカニズムとその生物学的意義の解明を目指した。 管状リソソームネットワークは変態期にリモデリングされる一群の筋細胞にのみ見られる。そこで、それらの腹部筋細胞の経時的なトランスクリプトーム解析を実施し、筋細胞リモデリングに伴う遺伝子の発現変動を明らかにした。得られたデータの主成分分析および因子解析から、リソソーム機能に関わる遺伝子が濃縮される領域を見出した。その領域に含まれる候補遺伝子をリソソームの形態を指標にしたin vivo RNAiスクリーニングに供することにより、リソソームの管状化に関わる一群の遺伝子を同定することに成功した。得られた遺伝子の機能解析から、管状リソソームの形成には、小胞体が重要や役割を果たしていることが明らかになった。
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