研究課題
植物の液胞膜からタンパク質を回収する仕組みが存在するのか、存在するとすれば、それはどのような分子機構によっているのかを、液胞膜と後期エンドソームの融合を実行するエンドソームタンパク質であるVAMP727をモデルカーゴとして明らかにするべく研究を進めている。令和3年度までに、光変換タンパク質を用いた実験により、VAMP727が液胞膜から回収される経路の存在を証明した。さらに、VAMP727と共沈降してくる分子を質量分析で同定することにより、VAMP727の相互作用因子候補を複数同定した。令和4年度においては、それらの相互作用因子のうち、VAMP727の液胞膜からのリサイクリングに関わる可能性のある分子を選び出すべく遺伝学的な解析を進めた。sorting nexinおよびretromer複合体の各サブユニットについて変異体を収集し、それらにGFP-VAMP727を導入して局在への影響を調べた。その結果、retromerの変異体ではGFP-VAMP727のエンドソーム局在に変化が見られなかったのに対し、sorting nexin変異体ではGFP-VAMP727が液胞膜に蓄積することを見いだした。この結果は、sorting nexinがVMAP727の液胞膜からのリサイクリングに関与している可能性を示している。現在、sorting nexin変異体でsorting nexinを発現誘導することで、液胞膜からVAMP727が回収されるかを検証すべく準備を進めている。
1: 当初の計画以上に進展している
これまでにVAMP727の液胞膜からのリサイクリング経路の実在を証明するとともに、そこで機能すると考えられる分子の候補を同定していることから、研究が当初の計画以上に進展していると判断した。
引き続き、候補因子の変異体を用いた解析を行うとともに、AlphaScreen法やnative MSなどの手法を用いてVAMP727と候補因子の結合を生化学的に解析する。さらに、VAMP727が液胞膜から回収される過程をリアルタイムで可視化する。必要に応じて超解像顕微鏡を用いた観察を実施する。成果を国際誌に発表するとともに、プレスリリースなどを通じて広く公開する。
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すべて 雑誌論文 (9件) (うち国際共著 1件、 査読あり 9件、 オープンアクセス 4件) 学会発表 (1件) (うち国際学会 1件、 招待講演 1件) 備考 (3件)
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