研究課題
本研究課題は、研究代表者が20年前からパイオニアとして世界をリードしてきたショウジョウバエをモデル生物とする睡眠研究を継続的に発展させるもので、種を超えて進化的に保存されている睡眠という生命現象の制御機構と生理的意義の解明を目指している。今年度は、以下の結果を論文にまとめた。2016年に筑波大学の柳沢らとの共同研究で発見した睡眠制御遺伝子のSik3の変異体が、ショウジョウバエでは、概日リズムを制御する時計神経細胞において、睡眠を制御することを発見した。Sik3は、563番目のセリンがリン酸化されることで、活性を制御されるが、このセリン残基をアラニンに変異させたSik3-SA遺伝子を、全神経細胞で過剰発現させると睡眠が増加することがわかっていた。そこで、この変異遺伝子を一部の神経細胞だけで発現させて機能部位を調べたところ、時計神経で発現した場合が最も強く睡眠を増加させた。この結果は、ショウジョウバエの睡眠は、概日リズム機構と密接に関与することを示している。この結果もふまえて、時計神経の中でも、これまで睡眠との関係が調べられていないLNd についての解析を行った。また、新規の側面としては、以下の内容を学会で発表した。1.個体間相互作用が睡眠に与える影響を解析し、嗅覚が重要な役割を果たすことを見出した。2.一酸化窒素合成酵素のノックダウンが睡眠を減少させることを見出した。3.糖類の栄養と甘味により睡眠が制御されるが、それに加えて、滞在場所にも影響があることを見つけた。なお、研究代表者は2023年度の日本時間生物学会の大会長をつとめた。
令和5年度が最終年度であるため、記入しない。
すべて 2023
すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (7件) (うち国際学会 4件、 招待講演 1件)
Frontiers in Neuroscience
巻: 17 ページ: 1181555
10.3389/fnins.2023.1181555