1. ネオX染色体における即時遺伝子量補償の検証 今年度は、昨年度に鉄イオン2Gyを照射したミランダショウジョウバエのデータから得られた結果、すなわち「ネオX染色体上の遺伝子に即時遺伝子量補償は作用せず、ネオY染色体のシングルコピー遺伝子を消失した個体に有害であった可能性」を論文2報にまとめて出版した。また、より大きな欠失を得るため、アルゴンイオン10Gyおよび50Gyを照射したところ、6個体9ヵ所にMbスケールの欠失を得ることができた。これらの個体のRNA-seqを行い、遺伝子量補償の程度を検証したところ、即時遺伝子量補償が作用したという結果は得られなかった。 2. 性染色体から常染色体への転換時における遺伝子量補償 今年度はミランダショウジョウバエよりもより新しいネオ性染色体を持つアカショウジョウバエとテングショウジョウバエの雑種で同様の実験を行った。その結果、雑種不和合によると思われる異常な遺伝子発現パターンは、ミランダショウジョウバエ―ウスグロショウジョウバエ間に比べて少ないことが分かった。現在、遺伝子量補償が軽減するかどうかデータ解析を行っている。また、ミランダショウジョウバエ―ウスグロショウジョウバエ雑種を用いた解析結果を論文として執筆中である。
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