研究課題/領域番号 |
21H02579
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
木下 専 名古屋大学, 理学研究科, 教授 (30273460)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | シナプス / 樹状突起棘 / スパイン / 滑面小胞体 / セプチン / 長期記憶 / 長期増強 / 海馬 |
研究実績の概要 |
2020年度までに以下の知見を得た。1)初代培養ラット海馬顆粒細胞に後期長期増強(late LTP)を誘発し得るレベルの入力模倣刺激を薬理学的操作によって与えると、直後にシナプスが拡大し、遅れて小胞体伸展が再現された。RNAiによるSEPT3枯渇はシナプス拡大には影響せず小胞体伸展を阻害したことから、顆粒細胞スパインへのER侵入は神経活動依存的かつSEPT3依存的であると結論づけた。2)3D電顕(ssTEM)法を用いた海馬DG-CA3-CA1領域の系統的な3D形態計測においては、スパイン密度、スパイン体積、PSD面積等はいずれの領域も正常であったが、pp-DGのみでスパイン内小胞体の減少を認めたことから、Sept3欠損マウスの記憶固定化障害の原因がpp-DGシナプスに限局したシナプス機能障害であり、スパイン内小胞体の減少からポストシナプス(=顆粒細胞)側の異常を主徴とすることが判明した。3)RNAiによるMYO5Aの枯渇はSEPT3枯渇と類似したER伸展を阻害したことから、両者の機能的協調が示唆された。 上記知見に基づいて研究を推進し、2021年度は以下の進捗があった。免疫電子顕微鏡による局在比較により、MYO5AとSEPT3はスパイン近傍の小胞体上ないし周囲にも存在することと、LTPを模倣する電気刺激ECTにより、スパイン内SEPT3シグナル数が増加することを示した。スパイン内小胞体はCa2+/脂質シグナリングを介したシナプス伝達に関与すると想定されているが、小胞体伸展の制御機構とともに検証されていない。SEPT3が1) 神経活動に伴ってリン酸化され、2) スパイン基部からER膜近傍に移行し、3) MYO5Aと会合する、ことを示唆するデータが得られたため、「SEPT3がMYO5A とERを連結するアダプターないし連結安定化因子である」という仮説の検証を行っている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
初投稿用のデータがほぼ揃えられたため、本プロジェクトの最初の論文を執筆中である。
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今後の研究の推進方策 |
上記仮説の検証に加えて、CID(Chemically Induced Dimerization)法を新たに導入して小胞体膜をSEPT3-MYO5Aに連結する小胞体上のアダプター分子Xの探索と検証を行う。
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