研究課題/領域番号 |
21H02585
|
研究機関 | 沖縄科学技術大学院大学 |
研究代表者 |
田中 和正 沖縄科学技術大学院大学, 記憶研究ユニット, 准教授 (10772650)
|
研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
|
キーワード | 海馬 / 記憶エングラム / 最初期遺伝子 / 文脈記憶 / 場所細胞 |
研究実績の概要 |
本研究では、記憶エングラムによる情報表現が動的であることの意義、発火パターンの動的変化を生み出す構造的メカニズム、動的なふるまいに潜む一貫性を明らかにすることで、神経ネットワークによる情報保存の基本ルールを解明する。この主目的を達成するため、本研究計画は以下の4つの副目的に分割して取り組む。1)海馬記憶エングラムによる動的情報表現の意義を明らかにする。2)脳梁膨大後部皮質(RSC)記憶エングラムの情報表現の安定性を評価する。3)受容野の再配置を引き起こす記憶エングラムの可塑的変化を同定する。4)記憶エングラムの動的活動がコードする情報の長期的な一貫性を明らかにする。
これらの目的を達成するため、本年度は副目的1,3,4に主に取り組んだ。 副目的1) 記憶エングラムによる場所細胞の優先的な再配置を説明するため、二つの仮説を設定し、それぞれを検証するための行動実験を設計した。これら行動実験を実施するために必要な装置の設計と構築が順調に進んでおり、今年度中にデータ獲得を期待している。 副目的3) 記憶エングラムの可塑的変化を同定するため、海馬神経細胞樹状突起の電子顕微鏡イメージングに取り組んでいる。これまでのところ順調にデータ獲得が進んでおり、今年度中に本格的な解析に取り掛かることが可能であると予想される。 副目的4) 本目的の達成に必要なデータの獲得は完了しており、現在は解析を進めている。本年度中の論文化を目指す。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究計画はおおむね順調に進展しており、近いうちの論文発表が期待される。 研究実施にあたっていくつかの技術的な問題に直面したが、すでに解決済みである。
|
今後の研究の推進方策 |
それぞれの副目的に対する推進方策は以下の通りである。 副目的1) 行動実験を確立し、今年度中のデータ獲得を目指す。来年度には解析を完了し、論文化を狙う。解析にあたって必要なパイプラインは副目的4で得られるため、順調に推進するものと期待される。 副目的2) RSCでの記録を開始し、早期の実験完了を目指す。アプローチとしては研究代表者がすでに発表済みの研究(Tanaka et al., 2018)と同じであり、順調に推進するものと期待される。 副目的3) 電子顕微鏡イメージングは順調に進んでおり、解析を早期に終わらせることで論文化を目指す。 副目的4) 早期のうちにデータ解析を完了し、本年度内に論文発表を目指す。
|