本研究計画では、記憶エングラムによる情報表現が動的である意義、発火パターンの動的変化を生み出す構造的メカニズム、動的な振る舞いに潜む一貫性を明らかにすることを通して、神経ネットワークによる情報保存の基本ルールを解明することを目的としていた。 研究は順調に進捗し、いくつかの主要な発見に至った。まず、神経活動の動的な振る舞いに潜む一貫性として、神経活動多様体に一定のパターンがみられることを見出した。このパターンはこれまでに研究されていた場所細胞の活動とは別に存在しており、神経活動を通して情報を表現する「文法」が一意的ではない可能性を示している。本成果は論文執筆中であり、2024年夏の投稿を予定している。 また、発火パターンの動的変化を生み出す構造的メカニズムに関しても、電子顕微鏡を用いた解析が進んでおり、その構造的な特徴の同定に成功している。本成果も、年度内の論文投稿を予定している。 記憶エングラムの情報表現が動的である意義については、現在データ解析を進め、早い段階での論文化を目指している。
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