研究課題/領域番号 |
21H02606
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研究機関 | 徳島大学 |
研究代表者 |
南川 典昭 徳島大学, 大学院医歯薬学研究部(薬学域), 教授 (40209820)
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研究分担者 |
駒 貴明 徳島大学, 大学院医歯薬学研究部(医学域), 准教授 (00803496)
野間口 雅子 徳島大学, 大学院医歯薬学研究部(医学域), 教授 (80452647)
田良島 典子 徳島大学, 大学院医歯薬学研究部(薬学域), 准教授 (90755183)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | RNAウイルス感染症 / 新型コロナウイルス / 治療薬 / 予防薬 / 4'-チオ核酸 |
研究実績の概要 |
RNAウイルス治療薬開発については、前年度、in vitroで強力な抗SARS-CoV-2活性を有する化合物を見出したことを報告した。今年度は、これについて4'-チオ誘導化をはじめとして関連化合物を各種合成し、その抗SARS-CoV-2活性を評価した。しかしそれら誘導体には顕著な抗ウイルス活性を見出すことは出来なかった。そこではじめに見出した化合物について、ハムスター感染モデルを用いてin vivoでの活性評価を行った。ポジティブコントロールとして、現在臨床使用されているモルヌピラビルと比較に活性評価を行ったところ、モルヌピラビルを凌駕する効果を見出すことができた。また肺の病理分析から、この化合物は肺炎を予防することも明らかとなった。 一方、予防薬の開発については、前年度、4’-チオmRNAに中和抗体産生が確認できなかったことを報告した。そこで哺乳動物細胞において4’-チオmRNAが期待通りタンパク質を発現するかをGFPの発現によって確認することにした。その結果、ポジティブコントロールとして調製した1-メチルシュードウリジンを含むmRNAではGFPの発現が確認されたが、そこに4'-チオ体を導入した場合、GFPの発現は確認されなくなった。これは酵素合成による4’-チオmRNA調製では、4'-チオ体がランダムに導入されるためと考えられた。一般に、mRNAへの化学修飾の導入は、コドン一番目は許容であるが、コドン二番目、三番目ではタンパク質の発現効率が大きく低下することが知られており、それが原因を考察した。現在、4'-チオ体をコドン一番目だけに導入した4’-チオmRNAの化学合成を検討中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
治療薬開発については、現在、新型コロナウイルス感染症治療薬として臨床使用されているモルヌピラビルを凌駕する抗ウイルス活性を示す化合物を見出せたことから予想以上の結果が得られたと判断している。一方、治療薬開発については、4'-チオmRNAによる中和抗体産生を確認するには至らなかったが、研究推進の課題を明確にできたため。
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今後の研究の推進方策 |
治療薬開発については、見出した化合物の大量合成を行い、ハムスター感染モデルを用いたより高精度なin vivo活性評価を実施する。 一方、予防薬開発については、4'-チオmRNAをワクチンとして開発する問題点が明確になりつつある。これを踏まえ、まず4'-チオ体をコドン一番目だけに導入した4’-チオmRNAの化学合成を達成し、そのタンパク質発現効果をin vitroで確認する。それが確認できれば、タンパク質の発現をin vivoで検証する。
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