研究課題
RNAウイルス治療薬開発については、前年度4'-チオ誘導体に効果が見られないことが明らかとなった。そこで効果の改善ならびに物性改善を目的に更なる誘導体合成を展開した。まず対象化合物の代謝活性化の経路を考慮し、その2'-デオキシ誘導体ならびに塩基部の合成を行い、抗ウイルス活性を評価した。その結果、これらの化合物には抗ウイルス活性が観察され、代謝活性化の経路の妥当性が確認できた。さらにプロドラッグ体やアミノ酸コンジュゲート体の合成も行った。これについては現在、抗ウイルス活性を評価中である。また対象化合物の活性発現機構を明らかにする目的で、その三リン酸体を合成し、それがRNA依存性RNAポリメラーゼ(RdRp)を阻害するかについて調べた。その結果、当初の予想に反してこの化合物はRdRpの阻害剤とはならないことが明らかとなった。対象化合物の活性発現機構をさらに追求した結果、この化合物はmRNAのキャッピングプロセスを阻害することで抗ウイルス活性を発現していることを明らかにした。一方、予防薬の開発については、コドンに化学修飾を位置特異的に導入することを検討したが、それを達成することはできなかった。そこでmRNAワクチンに導入されている化学修飾体の4'-チオ体を計4種合成し、それらを三リン酸体へと誘導した。これらを用いて、T7 RNAポリメラーゼによるRNA合成を検討した結果、m5-4'SCTPが良い基質となることが明らかとなった。さらにこの反応系で4'-チオmRNAを合成し、大腸菌の系でタンパク質の発現を確認した。現在、これを哺乳動物細胞系で検証中である。
令和5年度が最終年度であるため、記入しない。
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