研究実績の概要 |
α,β-連続四置換型非天然アミノ酸含有ペプチドを用いた新規中分子創薬を行うために、その効率的かつ網羅的な合成法の開発を行なっている。R4年度の研究でも、引き続き①アミノ酸Schiff塩基のtert-ラジカルクロスカップリング、②N-無保護ケチミンの分子内環化反応の検討を行った。①に関しては、アミノ酸Schiff塩基のα位酸化によるαラジカルの形成、α,β-不飽和結合への酸化、続くアルキルラジカルの1,4-付加反応によってβ位にアルキル化反応の開発に成功していたが、さらにアルキルラジカル以外に種々の求核剤が1,4-付加反応できることを見出し、様々な求核剤のβ位導入反応の開発に成功した。また、α,β-不飽和アミノ酸が生成することをヒントに、アルドール縮合を用いるα,β-不飽和型非天然アミノ酸の合成法の開発にも成功した(論文投稿中)。合成したα,β-連続四置換型非天然アミノ酸含有ペプチドの生物活性の結果をもとに、非天然アミノ酸の導入位置の検討、そして置換基のサイズのチューニングを行い、さらなる生物活性の向上の検討を行なっている。②に関しては、触媒的不斉ヒドロホスホニル化反応の開発に成功し、種々のα-アミノホスホン酸を合成と誘導体化にも成功した。さらに、N-無保護ケチミンの触媒的合成法と求核付加反応のワンポット反応の適応範囲を拡大し、Strecker反応、ヒドロホスホニル化反応とのワンポット化に成功した。ワンポット反応化することで、不安定なN-無保護ケチミンを経由する反応も実現することができた。
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