研究課題/領域番号 |
21H02634
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研究機関 | 国立医薬品食品衛生研究所 |
研究代表者 |
諫田 泰成 国立医薬品食品衛生研究所, 薬理部, 部長 (70510387)
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研究分担者 |
細田 洋司 国立研究開発法人国立循環器病研究センター, 研究所, 客員研究員 (40359807)
朝倉 宏 国立医薬品食品衛生研究所, 食品衛生管理部, 部長 (40370936)
芦原 貴司 滋賀医科大学, 医学部, 教授 (80396259)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | iPS心筋 / 収縮 / 不整脈 / ドラッグリポジショニング / ウイルス感染 / SARS-CoV-2 |
研究実績の概要 |
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の感染拡大は、医学的にも社会的にも喫緊の問題である。SARS-CoV-2は心筋、肺、中枢など様々な臓器に影響を与えるだけではなく、Long COVIDと呼ばれる長期症状も報告されており、臓器の障害や後遺症の克服は最重要課題である。特に、不整脈や心筋炎、心不全など心血管系に対する影響が懸念されている。そこで本研究では、ヒトiPS細胞由来心筋細胞を用いて心機能評価系を構築し、SARS-CoV-2の感染による心筋障害メカニズムを検討することにより、創薬への展開を目指す。 本年度はまず、ヒトiPS細胞由来心筋細胞の収縮力を定量的に解析した。その結果、イメージングによる収縮速度とインピーダンスによる収縮パラメーターを比較したところ、両者のパラメーターが良く相関していることを見出した。また、慢性的な影響を解析できることも確認した。 次に、ヒトiPS細胞由来心筋細胞に新型コロナウイルスを感染させたところ、心筋障害が誘導されることを見出した。イメージングにより収縮に対する影響を検討したところ、SARS-CoV-2により収縮障害が認められた。次世代シークエンスにより網羅的な遺伝子解析を調べた結果、SARS-CoV-2により収縮に関連するタンパク質の発現が低下したことから、心筋に直接SARS-CoV-2が感染して機能障害が誘導されることが示唆された。また、収縮機構以外にも、感染によって影響を受けるシグナル伝達経路を見出した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究計画に従って、予定通り、ヒトiPS細胞由来心筋細胞の収縮を詳細に検討し、慢性曝露の評価系を構築した。また、SARS-CoV-2感染による網羅的な遺伝子解析を行い、パスウエイ解析により感染経路や心筋障害などのメカニズムに取り組み、いくつか候補となるパスウエイを見出してた。このように、本研究はおおむね順調に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、細胞レベルでシグナル経路を詳細に解析することにより、SARS-CoV-2感染のメカニズムを明らかにする予定である。また、キーとなるパスウエイや分子に着目して、創薬への展開をはかる予定である。
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