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2021 年度 実績報告書

内因的アルブミン輸送システムの理解に基づく革新的アルブミンDDSキャリアの構築

研究課題

研究課題/領域番号 21H02645
研究機関徳島大学

研究代表者

異島 優  徳島大学, 大学院医歯薬学研究部(薬学域), 准教授 (00457590)

研究分担者 石田 竜弘  徳島大学, 大学院医歯薬学研究部(薬学域), 教授 (50325271)
小田切 優樹  崇城大学, 薬学部, 特任教授 (80120145)
研究期間 (年度) 2021-04-01 – 2024-03-31
キーワードアルブミン / ドラッグデリバリーシステム / アルブミン受容体 / アクティブターゲティング
研究実績の概要

ヒトの血中にもっとも多量に存在するアルブミンは、脂肪酸などの多様な化合物の運搬体として機能しているが、どのように各化合物をそれぞれの臓器へ選択的に送達させているのかは不明であった。近年、生体の各臓器には、多様なアルブミン受容体が発現しており、そのアルブミン に対する認識性には違いがあることが報告された。我々は、この様々な種類のアルブミン受容体のアルブミン認識性を明らかにすることにより 、様々な組織移行性をもつアルブミンの開発が出来ると考え、本研究課題である「内因的アルブミン輸送システムの理解に基づく革新的アルブ ミンドラッグデリバリーシステム(DDS)キャリアの構築」に着手した。初年度の結果として、これまでに明らかにされていないアルブミン相互作用タンパク質が、それぞれの臓器で同定することに成功した。加えて、それら相互作用タンパク質との親和性は、アルブミンの「質」が変化することで変動することも明らかとなった。その一方で、既知のアルブミン受容体との相互作用があまり検出できなかったことは今後の課題である。
このアルブミンの「質」の変化を具体的にすべく、酸や塩基、有機溶媒などの様々な条件下にてアルブミンを反応し、構造特性や体内動態特性を検討したところ、alphaヘリックス含量の低下などの構造変化を引き起こし、腎臓や肝臓への取り込み増大といった変化を示す修飾アルブミンの作製に成功した。これらの知見は、国内の学会において、すでに発表しており、現在論文化を行っている段階である。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

当初、各種アルブミン受容体の生体内分布・発現量を明らかにすることや既知のアルブミン受容体におけるアルブミン上の認識部位を詳細に解明することなどを計画として予定していたが、予期せぬこととして、全く新しいアルブミン相互作用タンパク質を同定することができた。新たに行うべきこととして、これらのタンパク質がアルブミンの取り込みにどのように関わるかを詳細に検討する必要はあるが、全く新規な発見につながる可能性も秘めていることから、「おおむね順調に進展している」とした。

今後の研究の推進方策

当初の計画であった、「各種アルブミン受容体の生体内分布・発現量を明らかにする」ことや「既知のアルブミン受容体におけるアルブミン上の認識部位を詳細に解明する」ことと並行して、現在全く新規で発見されたアルブミン相互作用タンパク質の機能解析を行い、アルブミンの体内動態特性にどのように関わっているのか、また既知のアルブミン受容体との関連性を精査しつつ、有用なアルブミンキャリアの開発を行っていくこととする。

  • 研究成果

    (16件)

すべて 2022 2021 その他

すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (4件) (うち国際共著 4件、 査読あり 4件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (10件) (うち招待講演 1件) 備考 (1件)

  • [国際共同研究] Monash University Malaysia/International Medical University(マレーシア)

    • 国名
      マレーシア
    • 外国機関名
      Monash University Malaysia/International Medical University
  • [雑誌論文] Nitric oxide facilitates the targeting Kupffer cells of a nano-antioxidant for the treatment of NASH2022

    • 著者名/発表者名
      Maeda Hitoshi、Ishima Yu、Saruwatari Junji、Mizuta Yuki、Yasuda Kengo、Oshiro Shun、Taura Manabu、McConnell Matthew J.、Oniki Kentaro、Sonoda Kayoko、Wakayama Tomohiko、Kinoshita Manabu、Shuto Tsuyoshi、Kai Hirofumi、Tanaka Motohiko、Sasaki Yutaka、Iwakiri Yasuko、Otagiri Masaki、Watanabe Hiroshi、Maruyama Toru
    • 雑誌名

      Journal of Controlled Release

      巻: 341 ページ: 457~474

    • DOI

      10.1016/j.jconrel.2021.11.039

    • 査読あり / 国際共著
  • [雑誌論文] Evidence for Delivery of Abraxane via a Denatured-Albumin Transport System2021

    • 著者名/発表者名
      Hama Maichi、Ishima Yu、Chuang Victor Tuan Giam、Ando Hidenori、Shimizu Taro、Ishida Tatsuhiro
    • 雑誌名

      ACS Applied Materials & Interfaces

      巻: 13 ページ: 19736~19744

    • DOI

      10.1021/acsami.1c03065

    • 査読あり / 国際共著
  • [雑誌論文] The Therapeutic Effect of Human Serum Albumin Dimer-Doxorubicin Complex against Human Pancreatic Tumors2021

    • 著者名/発表者名
      Kinoshita Ryo、Ishima Yu、Chuang Victor T. G.、Watanabe Hiroshi、Shimizu Taro、Ando Hidenori、Okuhira Keiichiro、Otagiri Masaki、Ishida Tatsuhiro、Maruyama Toru
    • 雑誌名

      Pharmaceutics

      巻: 13 ページ: 1209~1209

    • DOI

      10.3390/pharmaceutics13081209

    • 査読あり / オープンアクセス / 国際共著
  • [雑誌論文] Reduction-Responsive and Multidrug Deliverable Albumin Nanoparticles: An Antitumor Drug to Abraxane against Human Pancreatic Tumor-Bearing Mice2021

    • 著者名/発表者名
      Hirakawa Naoki、Ishima Yu、Kinoshita Ryo、Nakano Ryuto、Chuang Victor Tuan Giam、Ando Hidenori、Shimizu Taro、Okuhira Keiichiro、Maruyama Toru、Otagiri Masaki、Ishida Tatsuhiro
    • 雑誌名

      ACS Applied Bio Materials

      巻: 4 ページ: 4302~4309

    • DOI

      10.1021/acsabm.1c00110

    • 査読あり / 国際共著
  • [学会発表] アルブミン結合型パクリタキセル製剤Abraxaneの変性アルブミン受容体を介した薬物輸送メカニズム2021

    • 著者名/発表者名
      濵眞壱、異島優、安藤英紀、清水太郎、石田竜弘
    • 学会等名
      日本薬剤学会第36年会
  • [学会発表] PEG修飾タンパクの凝集体形成が及ぼす抗PEG抗体産生・血中滞留性への影響2021

    • 著者名/発表者名
      福田悠花、中島祟樹、異島優、安藤英紀、清水太郎、長野一也、柴田寛子、石田竜弘
    • 学会等名
      日本薬剤学会第36年会
  • [学会発表] 効率的な体液性免疫誘導に向けたアルブミンナノキャリアの開発2021

    • 著者名/発表者名
      山出莉奈、平川尚樹、清水太郎、安藤英紀、異島優、石田竜弘
    • 学会等名
      日本薬剤学会第36年会
  • [学会発表] 致死性エンドトキシンショックに対するヒト血清アルブミンの治療効果の機序解明2021

    • 著者名/発表者名
      向井愛菜、異島優、安藤英紀、清水太郎、石田竜弘
    • 学会等名
      日本薬剤学会第36年会
  • [学会発表] 様々なヒト血清アルブミン受容体を介した薬物キャリアの開発2021

    • 著者名/発表者名
      橋本愛子、濱眞壱、異島優、安藤英紀、清水太郎、石田竜弘
    • 学会等名
      日本薬剤学会第36年会
  • [学会発表] 活性イオウ付加型ヒト血清アルブミンの腫瘍への送達は小疱形成を介した細胞死を誘導する2021

    • 著者名/発表者名
      松尾菜々、異島優、安藤英紀、清水太郎、石田竜弘
    • 学会等名
      第29回DDSカンファランス
  • [学会発表] 高い抗体産生誘導能を有する抗原搭載アルブミンナノ粒子の開発2021

    • 著者名/発表者名
      山出莉奈、平川尚樹、清水太郎、安藤英紀、異島優、石田竜弘
    • 学会等名
      日本薬剤学会第2回超分子薬剤学FGシンポジウム
  • [学会発表] 活性硫黄化が織りなすタンパク質の新たな生体防御機構2021

    • 著者名/発表者名
      異島優
    • 学会等名
      第28回日本血液代替物学会年次大会
    • 招待講演
  • [学会発表] アルブミンを基盤とした臓器特異的移行性を有するDDSキャリアの作製2021

    • 著者名/発表者名
      橋本愛子、異島優、安藤英紀、清水太郎、石田竜弘
    • 学会等名
      第15回次世代を担う若手のための医療薬科学シンポジウム
  • [学会発表] Sulfane sulfur付加型HSAを用いた還元ストレス誘導を介するがん治療戦略2021

    • 著者名/発表者名
      松尾菜々、異島優、安藤英紀、清水太郎、石田竜弘
    • 学会等名
      第60回日本薬学会・日本薬剤師会・日本病院薬剤師会中国四国支部学術大会
  • [備考] 徳島大学薬学部 薬物動態制御学ホームページ

    • URL

      https://www.tokushima-u.ac.jp/ph/faculty/labo/ykz/

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公開日: 2022-12-28  

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