研究課題/領域番号 |
21H02648
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研究機関 | 長崎大学 |
研究代表者 |
佐々木 均 長崎大学, 熱帯医学研究所, 特命教授 (00170689)
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研究分担者 |
黒崎 友亮 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(薬学系), 助教 (00582016)
平山 謙二 長崎大学, 熱帯医学・グローバルヘルス研究科, 教授 (60189868)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | ワクチン / ナノ粒子 / mRNA |
研究実績の概要 |
いくつかのキットを用いてモデルmRNAとして、ルシフェラーゼ(Luc)をコードしたmRNAを調製し、mRNAのCap構造や末端のpolyAの付加などが及ぼすタンパク発現効果への影響を検討した。この結果、特にTrilink社のCleanCapを用いたmRNAで高いタンパク発現が認められた。一方で、研究室内で調製したmRNAにはロット間でタンパク発現効果にバラツキが認められたため、今後の検討ではTrilink社のmRNA合成サービスを利用し、高効率なmRNAを大量に調製することとした。 Luc mRNAに正電荷を有する様々な高分子や脂質を結合し、さらに、免疫細胞への指向性を有するγ-ポリグルタミン酸を結合することでmRNA微粒子DDSを構築した。構築した微粒子DDSの粒子径や表面電荷を測定したところ、粒子径が100-200 nm程度の負電荷の微粒子が調製できた。また、樹状細胞株であるDC2.4細胞にmRNA微粒子DDSを添加し、ルシフェラーゼ活性を指標にタンパク質発現効果を評価した結果、正電荷高分子を用いた微粒子DDSと比較して、正電荷脂質を用いた微粒子DDSでより高いタンパク質発現効果が認められた。さらに、mRNA微粒子DDSを実験動物に経肺投与した場合にも同様の傾向が確認できた。今回検討した正電荷脂質の中から、タンパク発現効果や生体分解性、安全性を勘案し、微粒子DDSに最適と思われるものを選択した。 以上の結果から、2年目以降に用いるmRNAと微粒子DDSの調製法や組成を決定した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
特に問題なく研究が進んでおり、2年目以降に用いるmRNAと微粒子DDSの調製法や組成を決定できたため。
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今後の研究の推進方策 |
これまでに、モデルmRNAと培養細胞を用いてmRNA微粒子DDSの調製法を確立した。今後は新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)の抗原タンパク質をコードしたmRNAを用いて、実際の抗原タンパク質の発現を評価する。また、実験動物を用いてmRNA微粒子DDSの滞留性やタンパク質発現効果、免疫誘導効果などを詳細に評価していく。
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