研究課題/領域番号 |
21H02653
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研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
片貝 智哉 新潟大学, 医歯学系, 教授 (00324682)
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研究分担者 |
奥田 修二郎 新潟大学, 医歯学系, 教授 (00512310)
平島 正則 新潟大学, 医歯学系, 教授 (40383757)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | リンパ節 / リンパ洞 / リンパ管内皮細胞 / マクロファージ / ストローマ細胞 / リンパ液フィルター / 免疫応答 |
研究実績の概要 |
リンパ節において、リンパ管を介して到達した抗原や液性因子に対する素早い応答は、リンパ洞の独特な組織構造と濾過機能に依存し、免疫・生理学的にも極めて重要な過程であると考えられる。しかし、このリンパ洞フィルターの構造や機能の詳細については未だ不明な点が多い。本研究は、リンパ節の特定領域に局在する特殊なリンパ管内皮細胞、間質ストローマ細胞、組織マクロファージにより構成されるリンパ洞フィルターの組織・細胞構造の分子基盤と構築原理、および免疫・生理学的意義の究明を目的とする。 今年度は、自然・獲得免疫応答におけるリンパ洞フィルターの機能をさらに探るために、野生型マウスおよび各種遺伝子改変マウスに卵白アルブミン(OVA)などの抗原を皮下投与後、皮膚所属リンパ節で誘導される免疫応答の詳細や、それに連動したリンパ洞内皮細胞、ストローマ細胞、マクロファージの変化などについて、共焦点レーザー顕微鏡による高解像度顕微観察やフローサイトメトリー解析により検討した。また、組織由来の樹状細胞がリンパ節へ移動する前の初期応答を検出するために、マウス耳介に抗原・因子を投与後早期(1時間)に耳介を切除し、頸部リンパ節における免疫細胞の変動、活性化・分裂、各種サイトカイン産生をフローサイトメトリーにより評価する実験系を確立した。さらに、蛍光標識したOT-I、OT-II由来T細胞(OVA特異的)をマウスに移入し、OVAタンパク質を皮下投与した後の初期応答を検討し、各抗原・因子により誘導される応答の差異、捕捉・移送ルート、免疫細胞の活動を対応させ、リンパ洞フィルターとの関連を一部明らかにした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
リンパ節のリンパ洞フィルターに関する機能的な解析が順調に進行し、いくつかの新規知見が得られており、概ね計画どおりに研究が進捗している。
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今後の研究の推進方策 |
リンパ洞フィルター構造における弾性線維の機能的役割を明らかにするために、弾性線維形成不全 Fibulin-5欠損マウスに抗原・因子を皮下投与後、リンパ節で誘導される応答の詳細を検討する。蛍光標識したOT-I、OT-II由来T細胞(OVA特異的)をマウスに移入し、OVAタンパク質/抗原ペプチドを皮下投与後、初期応答を検討する。各抗原・因子により誘導される応答の差異、捕捉・移送ルート、免疫細胞の活動を対応させ、遺伝子欠損によるリンパ洞フィルター機能への影響を評価する。 また、癌免疫応答におけるリンパ洞フィルターの役割を継続して解析する。リンパ節転移性マウス乳癌細胞株E0771を第5乳腺皮下に移植・成長させ、鼠径、腋下リンパ節の応答や転移を誘導し、リンパ洞の構造、各種免疫細胞・洞内皮・ストローマ細胞分布、分子発現などに関して経時的な解析を行う。OVA/EGFPを安定発現させた癌細胞株を移植し、OT-I, OT-II細胞を同時移植した場合の免疫・組織学的解析、生体イメージングによる観察を行う。
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