研究課題
リンパ節において、リンパ管を介して到達した抗原や液性因子に対する素早い応答は、リンパ洞の独特な組織構造と濾過機能に依存し、免疫・生理学的にも極めて重要な過程であると考えられる。しかし、このリンパ洞フィルターの構造や機能の詳細については未だ不明な点が多い。本研究は、リンパ節の特定領域に局在する特殊なリンパ管内皮細胞、間質ストローマ細胞、組織マクロファージにより構成されるリンパ洞フィルターの組織・細胞構造の分子基盤と構築原理、および免疫・生理学的意義の究明を目的とする。最終年度は、自然・獲得免疫応答におけるリンパ洞フィルターの機能を追求するために、野生型マウスおよびCcl21a-KOマウス、Ccl19-cre/Cxcl12f/fマウス、Ccl19-cre/IκBSRマウスに卵白アルブミン(OVA)などの抗原とLPSなどの微生物由来成分を皮下投与後、皮膚所属リンパ節で誘導される抗体産生や抗癌免疫応答、そのときのリンパ球、リンパ洞内皮細胞、ストローマ細胞、マクロファージ、樹状細胞などの変化について、共焦点レーザー顕微鏡による高解像度顕微観察やフローサイトメトリー解析により検討した。また、蛍光標識したOT-I、OT-II由来T細胞(OVA特異的)をマウスに移入し、OVAタンパク質を皮下投与した後の初期応答を検討した。特に、樹状細胞が提示する抗原を抗原特異的T細胞が認識して形成されるT細胞クラスターの規模や組織内の位置、その後の分裂増殖について詳細な解析を行った。以上により、各抗原・因子により誘導される応答の差異や捕捉・移送ルート、免疫細胞の活動を対応させ、免疫応答におけるリンパ洞フィルターの機能的意義とメカニズムに関する多数の新知見を得た。
令和5年度が最終年度であるため、記入しない。
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Biophysics and Physicobiology
巻: in press ページ: e211006
10.2142/biophysico.bppb-v21.s006
Heliyon
巻: 9 ページ: e19215
10.1016/j.heliyon.2023.e19215
https://www.med.niigata-u.ac.jp/zoo/welcome.html