研究実績の概要 |
繊毛の構築機構を解析するために、クライオ電子顕微鏡を用いて中心対微小管の構成分子の一つであるFAP70の繊毛内局在を同定した。FAP70は中心対微小管のC2aと呼ばれる突起の構築に必要であり、FAP65およびFAP147と結合してC2aが構成されることを示した(Hou, Kubo, Oda, Witman et al J. Cell Sci. 2021, DOI: 10.1242/jcs.258540)。 クライオ電子トモグラフィーを用いてタンパク質の三次元構造を高解像度で再構成する方法を開発した。培養細胞にC-type lectinの一つであるlangerinを大量発現するとBirbeck granuleと呼ばれる層板小胞を生じる。これを精製、急速凍結した試料をクライオ電子顕微鏡を用いて撮影し、その三次元構造を0.64 nmの解像度まで明らかにした。このこれによりクライオ電子トモグラフィーを用いてタンパク質の二次構造まで可視化することができるようになった。さらにLangerin同士の結合を媒介するドメイン、loop258-263を特定し、これに変異を導入することで、Birbeck granuleの形成を阻害することに成功した。この変異langerinによるHIV取り込みを定量化し、loop258-263による結合がHIV取り込みに重要であることがわかった(Oda et al in revision, DOI:10.1101/2022.02.24.481763)。
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