研究課題/領域番号 |
21H02694
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研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
中津 史 新潟大学, 医歯学系, 准教授 (50360607)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | イノシトールリン脂質 / メンブレンコンタクト / プローブ |
研究実績の概要 |
昨年度の成果にもとづき、今年度はまず同定した新規メンブレンコンタクト局在分子の解析を行った。候補分子のひとつである脂質輸送タンパク質について、そのリガンドとなる脂質の同定を試みた。アミノ酸配列から脂質輸送に関与すると予想される機能ドメインを哺乳動物細胞に一過性に発現させ、FLAG抗体を用いてアフィニティー精製を行った後に、ゲルろ過クロマトグラフィーにより単量体を精製した。この精製サンプルを質量分析により解析し、リガンド脂質の探索を行った。これまでのところ、アミノ酸配列から予想される候補リガンド脂質以外に、新規のリガンド候補脂質を同定している。 次に、これらリガンド候補脂質を用いて、新規・メンブレンコンタクト局在脂質輸送タンパク質の脂質輸送活性の測定を試みた。まず、新規のリガンド脂質に対する脂質輸送活性測定方法の樹立を行った。脂質輸送活性測定は、我々が樹立した人工脂質二重膜(リポソーム)を用いた蛍光測定解析系をベースに、検出方法を改変した。現在までのところ、特異的な輸送活性シグナルの検出に成功しているが、シグナルが弱いため反応条件およびリポソーム構成脂質種の検討を行っている。 また、本研究では細胞膜PI4P合成酵素による細胞膜PI4P合成活性を鋭敏にモニターする必要があるため、細胞膜におけるPI4Pの検出・定量方法の樹立を行った。従来用いられてきたプローブに比べ、膜結合力が高くサイトゾルへの局在性が低いPI4P結合タンパク質を探索し、その候補分子を得た。この候補分子のPHドメインによる細胞膜PI4P認識・結合活性をイメージングにより詳細に解析した。これまでのところ、従来のPI4Pプローブと比較して、極めて高S/N比かつ特異的なPI4Pプローブとしての優れた特性が得られている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
新たな同定した新規・脂質輸送タンパク質のリガンド脂質の候補を同定し、そのリガンド脂質の輸送活性測定システムの樹立、および測定に成功した。また、細胞膜PI4Pを詳細にイメージング解析可能な新規プローブの開発に着手した。以上の状況から、おおむね順調に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
今後も当初の計画に沿って進める。今後は、新規・脂質輸送タンパク質の機能解析とともに、モデル動物の組織学的・生化学的解析を進めていく。
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