研究課題
オキシトシンは、脳視床下部の室傍核と視索上核の神経細胞で合成されるペプチドホルモンであり、その軸索のある下垂体後葉から循環血液中に放出され、陣痛誘発時の子宮収縮や授乳時の乳汁分泌に関わることは以前より分かっていた。最近では、中枢神経作用である信頼や愛情の形成に関わったり、抗炎症作用や免疫抑制効果についても知られるようになってきた。しかし、その分子作用メカニズムに関してまだまだ不明な点が多い。本研究では、そのようなオキシトシンの免疫制御作用について、オキシトシン受容体依存的な観点から研究を進めるとともに、オキシトシン受容体非依存的な効果についても調べ、その分子機構の全貌を明らかにすることを目的とする。まず、炎症への効果として、全身性エリテマトーデス(SLE)マウスモデル(MRL/lprマウス)を使って、オキシトシン持続投与による有効性を調べると、全身のリンパ節腫脹、皮膚の炎症、腎炎の病態が軽減し、抗dsDNA抗体や抗ssDNA抗体、抗核抗体などの自己抗体価も低下するなどの効果があった。免疫細胞において、オキシトシン受容体の発現を調べと、オキシトシン受容体の発現は一部のB細胞サブセットで確認できた。MRL/lprマウスの遺伝背景に、オキシトシン受容体欠損を導入したマウスを作製し、病態を解析すると、骨髄におけるB細胞分化が障害され、末梢血中のB細胞画分の低下が認められた。予想に反した表現系であったが、オキシトシン受容体シグナルは、骨髄におけるB細胞の分化、形質細胞への分化と自己抗体産生抑制B細胞分化に関わることが分かった。また、オキシトシン受容体非依存的な効果として、オキシトシンに結合する補体C4を同定し、血中でのオキシトシン輸送担体として働いていることを見出した。現在、補体C4がオキシトシンの養育行動・社会性行動や抗炎症作用などへどのような影響を与えているか調べている。
令和5年度が最終年度であるため、記入しない。
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