研究課題
(1)上皮細胞の再極性化の分子機構①「細胞内 apical膜凝集体」の構造:MDCK 細胞および Caco-2 細胞を用いた超解像顕微鏡(SIM)および光電子相関顕微鏡法(CLEM)による解析を行い、「細胞内 apical膜凝集体」には、apical 膜特異的タンパク質に加えて、微絨毛様構造が存在することを示した。 ②「細胞内 apical膜凝集体」の動態を制御する分子とその作用機序:「Ca switch 法」および「ATP switch 法」を用いて、共焦点レーザー顕微鏡、超解像顕微鏡、さらに live imaging の解析により、「細胞内 apical膜凝集体」は細胞の再極性化後、形態を変化させながら細胞膜に輸送されることを明らかにした。またこの過程に関与するタンパク質を同定するために、「細胞内 apical膜凝集体」に含まれるタンパク質をLC-MS/MS法により解析し、幾つかの候補タンパク質を見出した。(2)肝細胞の極性形成の分子機構① 肝細胞の極性形成の分子機構:ヒト肝癌由来HepG2細胞の「Matrigel3次元培養系」を用いて、共焦点レーザー顕微鏡および超解像顕微鏡による解析を行い,肝細胞の極性形成にはタイトジャンクションタンパク質 Par3およびapical膜の「Cdc42-Par6-aPKC 複合体」が必要であること、まずPar3が続いてCdc42が細胞間接着部位に輸送されること、Par6-aPKCはPar3とCdc42に依存して輸送されること、などを明らかにした。 ② 肝細胞の極性形成から毛細胆管ネットワーク形成に至る分子機構:マウス肝臓から調製した初代培養肝細胞の「collagen sandwich 培養系」を用いて共焦点レーザー顕微鏡等による解析を行い、極性決定に必要なaPKCが毛細胆管ネットワーク形成に必要であることを明らかにした。
2: おおむね順調に進展している
「肝細胞の極性形成の分子機構」に関しては、『肝細胞の極性形成決定には、Par3、Cdc42、Par6、aPKCが必要であること』を明らかにし、さらに、その内容を英文論文として発表することができたので、順調だと考えている。また、「上皮細胞の再極性化の分子機構」に関しても、「細胞内 apical膜凝集体」の微細構造を明らかにし、動態を制御する候補タンパク質を見出すところまで進んでおり、順調に進展している、と判断できると考えている。
上記のように、本研究課題は順調に進展していると考えられ、計画通りに研究を進める予定である。
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すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (2件) (うち招待講演 2件)
Journal of Biological Chemistry
巻: 297 ページ: 101354
10.1016/j.jbc.2021.101354