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2022 年度 実績報告書

上皮細胞と肝細胞における細胞極性化・再極性化の分子機構

研究課題

研究課題/領域番号 21H02698
研究機関九州大学

研究代表者

住本 英樹  九州大学, 医学研究院, 教授 (30179303)

研究期間 (年度) 2021-04-01 – 2024-03-31
キーワード細胞極性 / 上皮細胞 / 肝細胞
研究実績の概要

(1)上皮細胞の再極性化の分子機構の解明について
①「細胞内 apical 膜凝集体」の構造の解明:腎尿細管上皮細胞由来MDCK 細胞、大腸癌由来Caco-2細胞および乳腺癌由来MCF-7細胞を用いた解析により、上皮細胞の極性が失われた後に生成される「細胞内 apical 膜凝集体」は、apical膜由来の細胞内顆粒と低分子量Gタンパク質Rab11aをもつ顆粒の2種類の顆粒の集合体であること、apical膜由来顆粒には微絨毛様構造が存在すること等を明らかにした。 ②「細胞内 apical 膜凝集体」の動態を制御する分子の同定とその作用機序の解明:Ca switch法およびATP switch法を用いた超解像顕微鏡 live imagingの解析により、細胞の再極性化後、「細胞内apical膜凝集体」からapical膜由来顆粒がRab11a陽性になって新たに出芽し、この新たな顆粒が『apical膜が再構成される場所』へとexocytosisされることを示した。さらに、このexocytosisされる過程に低分子量Gタンパク質の1つであるCdc42が中心的な役割を担うことを明らかにした。また、Cdc42の下流では、Cdc42結合タンパク質であるPar6やCIP4、N-WASP等が重要な働きを担うことを明らかにした。 ③「細胞内basolateral膜由来凝集体」の動態:上皮細胞の極性が失われた時には「細胞内apical膜凝集体」に加えて「細胞内basolateral膜由来凝集体」が形成されることを見出し、この「細胞内basolatera膜由来凝集体」には3量体Gタンパク質共役型受容体GPR125も含まれ、そのbasolateral膜への輸送にはアダプタータンパク質であるDlg1やDvl1などが必要であることを明らかにした。
(2)肝細胞の極性形成の分子機構
肝細胞の極性形成の分子機構を解析する為に、マウス初代培養肝細胞のcollagen sandwich培養系をさらに向上させるための条件を行い、優れた実験系の構築に成功した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

「上皮細胞の再極性化の分子機構」に関しては、①「細胞内 apical 膜凝集体」はapical膜由来の細胞内顆粒と低分子量Gタンパク質Rab11aをもつ顆粒の2種類の顆粒の集合体であること、さらにapical膜由来顆粒には微絨毛様構造が存在することを明らかにした。また、②「細胞内 apical 膜凝集体」の動態を制御について、細胞の再極性化後、「細胞内 apical 膜凝集体」からapical膜由来顆粒がRab11a陽性になって新たに出芽し、この新たな顆粒が『apical膜が再構成される場所』へとexocytosisされること、このexocytosisされる過程に低分子量Gタンパク質の1つであるCdc42が中心的な役割を担うことを明らかにし、さらにCdc42の下流で働くタンパク質を同定することに成功している。さらに、③「細胞内 basolateral膜由来凝集体」を見出し、その成分の1つである3量体Gタンパク質共役型受容体GPR125の basolateral膜への輸送機構を解明し、英文論文として発表した。このように、本研究は順調に進展している、と判断している。
また、「肝細胞の極性形成の分子機構」に関しても、「肝細胞の極性形成から毛細胆管ネットワーク形成に至る分子機構」を明らかにするために、マウス肝臓から調製した初代培養肝細胞の「collagen sandwich 培養系」をさらに向上させるための条件を行い、優れた実験系の構築に成功しており、順調に進展している、と判断できると考えている。

今後の研究の推進方策

上記のように、本研究課題は順調に進展していると考えられ、計画通りに研究を進める予定である。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2023 2022

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 図書 (1件)

  • [雑誌論文] GPR125 (ADGRA3) is an autocleavable adhesion GPCR that traffics with Dlg1 to the basolateral membrane and regulates epithelial apicobasal polarity2022

    • 著者名/発表者名
      Sakurai, T., Kamakura, S., Hayase, J., Kohda, A., Nakamura, M., Sumimoto, H.
    • 雑誌名

      Journal of Biological Chemistry

      巻: 298 ページ: 102475

    • DOI

      10.1016/j.jbc.2022.102475

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [図書] NADPH Oxidases Revisited: From Function to Structure2023

    • 著者名/発表者名
      Sumimoto Hideki、Kohda Akira、Hayase Junya、Kamakura Sachiko
    • 総ページ数
      608
    • 出版者
      Springer International Publishing
    • ISBN
      978-3031237515

URL: 

公開日: 2023-12-25  

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