研究課題/領域番号 |
21H02705
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研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
金井 弥栄 慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 教授 (00260315)
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研究分担者 |
榊原 康文 慶應義塾大学, 理工学部(矢上), 教授 (10287427)
新井 恵吏 慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 准教授 (40446547)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 病理画像 / 人工知能 / オミックス解析 / 病理診断 / CpGアイランドメチル化形質 |
研究実績の概要 |
腎細胞がん104症例の手術検体の病理プレパラートのうち、核異形度分類Fuhrman gradeが最も高度である領域と、面積的に最も優位なFuhrman gradeを示す領域を、種々の倍率で撮影した光学顕微鏡画像と、バーチャルスライドデータを深層学習に供した。転移学習に用いるため、肝・肺・心・胃等正常主要臓器の光学顕微鏡画像・バーチャルスライドデータを同様に深層学習に供した。自己符号化器AutoEncoderを用いた前処置により画像を圧縮し、畳み込みニューラールネットワーク (convolution neural network [CNN])に投入して、入力画像に対してCpGアイランドメチル化形質 (CIMP)陽性・陰性の2値分類を行った。CIMP陽性・陰性を判定するためのより高い曲線下面積 (area under the curve [AUC])を得るための、適切な光学顕微鏡画像の倍率ならびにデ ータ圧縮方法を明らかにした。モデル構築における、バーチャルスライド画像の有用性が示された。画像認識データセットImageNetを用いたパラメータ学習モデルInception version 3ではなく、我々自身が撮影した主要臓器の多数の光学顕微鏡画像から転移学習を行う方が、十分なAUCを獲得できることがわかった。Gradient-weighted class activation mapping (Grad-CAM)を用いて、CNNモデルがCIMP陽性・陰性の判別時に病理画像のどの領域に着目しているか可視化した。全症例・全分割画像における可視化結果を、病理専門医とバイオインフォマティシャンが討議しつつ確認した。また複数の病理専門医が、CNNモデルの着眼点を、クロマチンパターン等の核異型・細胞異型・組織構築・細胞間接着性・細胞極性・胞巣形状・血管密度・間質細胞組成に分類し言語化した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
CIMP診断基準構築に関して計画通りに進捗し、今後のモデル構築に有用なノウハウを獲得して、2022年度以降にモデルに投入するオミックスデータも準備できたため、順調な進展と考える。
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今後の研究の推進方策 |
CNNモデルがCIMP陽性・陰性の判別時に病理画像のどの領域に着目しているか可視化して2021年度までに構築した「病理組織学的CIMP診断基準」に改良を加え、検証コホート腎細胞がん100検体に適用する。複数の病理専門医がCIMP診断を再現できるか検討し、深層学習によって構築した診断基準の信頼度を検証する。また、学習コホートのエピゲノム以外のオミックスデータ、すなわちVHL変異・RPBM1変異・VEGF mRNA発現量・同タンパク質発現量・高マンノース認識レクチン信号強度等を病理画像から予測するCNNモデルの構築を試みる。各モデルのAUCを比較することにより、ゲノム・エピゲノム・トランスクリプトーム・プロテオーム・グライコプロテオーム情報のいずれが病理画像から予測しやすいのか明らかにする。もって、さらに多様なオミックス情報を統合した病理診断基準の創出を目指す。
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備考 |
研究室で実施した、科研費による本研究を含む病理学を基盤とする疾患研究の成果について、研究者・学生・一般市民等に向けて解説している。
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