研究課題/領域番号 |
21H02713
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研究機関 | 富山大学 |
研究代表者 |
笹原 正清 富山大学, 学術研究部医学系, 教授 (20154015)
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研究分担者 |
森 寿 富山大学, 学術研究部医学系, 教授 (00239617)
山本 誠士 富山大学, 学術研究部医学系, 講師 (10456361)
中川 崇 富山大学, 学術研究部医学系, 教授 (40610374)
高雄 啓三 富山大学, 学術研究部医学系, 教授 (80420397)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 血小板由来増殖因子 / 受容体 / メタボロミクス / 神経幹細胞 / アンチエイジング |
研究実績の概要 |
老化と関連する神経疾患の克服は、超高齢社会に健康寿命の延伸をもたらす必須の研究課題です。近年の多くの研究が成体脳に分布する神経幹細胞/前駆細胞 (Neural stem/progenitor cells, NSPCs) の加齢に伴う変化が脳の老化の本質であることを示唆しており、その阻止は老化関連疾患を克服する戦略として注目されています。 酸化型nicotinamide adenine dinucleotide (NAD+)は加齢とともに発現が減少し、その補充が様々な老化に伴う生体の変化を抑制することが報告されつつあるものの、NAD+およびこれが関与する代謝制御の機序は明らかにされていません。 一方、直近の我々の研究は、成体脳の血小板由来増殖因子受容体α遺伝子 (Pdgfra)のノックアウト (aKO) マウスがNSPCsの加齢により生じるとされる幾つかの老化現象に合致するPhenotypeを示すことを同定しました。さらに培養したNSPCsでのPdgfraのノックアウトはNAD+を著しく減少させると同時に、NSPCsの増殖や多分化能を抑制しました。 これらを基に、本研究課題はPDGFRαシグナルによるNSPCsの老化現象をNAD+の関与する細胞代謝制御と関連付けて理解しようとするものです。これによって脳の老化機構を解明し、脳のアンチエイジングにより健康な超高齢社会の実現を目指します。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
神経幹細胞/前駆細胞 (Neural stem/progenitor cells, NSPCs) 特異的にPDGFR-α遺伝子のノックアウトをIn vivo, In vitroのいずれにおいても誘導し、当該遺伝子の役割を老化に関連する腫瘍な代謝経路に関連付けて解析できる系を確立できた。 これらによって系統的な理解を得るための知見を整理された形で得ることができつつあることから研究の進行が順調に進展しているものと判断しました。
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今後の研究の推進方策 |
確立できた実験系をもとに仮説を軸に研究を推進し、さらに仮説を超える生物学的な事実あるいは意義を追求していきます。
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