現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
令和3年度に、PD-1-/-, Msh2-/+ マウスが死亡してしまったが、これは想定外の出来事であった。現在でも、その原因は判明していない。この研究の遅れを取り戻すために、PD-1-/- マウスと Msh2-/+ マウス(Msh2 マウスは、ホモ接合体の状態では維持することができない)を交配し、まず、PD-1-/+, Msh2-/+ マウスを樹立した。次に、PD-1-/+, Msh2-/+ マウスと PD-1-/-, Msh2+/+ マウスを交配し、PD-1-/-, Msh2-/+ マウスを樹立した。そして最後のステップとして、PD-1-/-, Msh2-/+ マウス同士を交配し、PD-1-/-, Msh2-/- マウス(PD-1/Msh2 ダブルノックアウト -DKO- マウス)を獲得した。その PD-1/Msh2 DKO マウスには、肝臓をはじめとする複数の臓器に自己免疫性の異常が観察されるため、主に病理学的、あるいは免疫組織化学的手法を用いた解析を実施した。一方、PD-1-/-, Msh2-/+ マウスの維持のためには、PD-1-/-, Msh2+/+ マウスとの間で(バッククロスのような)交配を続けており、これまでのところ、同マウスの安定的な維持に成功している。つまり、令和3年度に PD-1-/-, Msh2-/+ マウスが死亡してしまったため、数ヶ月間の研究の遅れが生じたが、令和4年度のうちに、その遅れを取り戻すことができた。
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今後の研究の推進方策 |
令和4年度以降も、生後2ヶ月の野生型 WT マウスと PD-1 KO マウスを用意し、ENU の投与(85 mg/kg BW)を実施し、ENU 投与マウスの主に肝臓に出現する炎症病変を観察し、免疫学的・病理学的な解析を実施する。また、当該年度の研究期間中に、PD-1-/-, Msh2-/+ マウスを再度樹立することができたため、令和4年度以降も、PD-1-/-, Msh2-/+ マウス同士を交配することにより、PD-1-/-, Msh2-/- マウス(PD-1/Msh2 DKO マウス)を安定的に獲得し、そのマウスに現れる病態の免疫学的・病理学的な解析を継続する。令和4年度以降は、PD-1 KO マウスの肝臓において、既知の非自己タンパク質を発現させる実験を実際に稼働させる。実験手法としては、マウスの尾静脈から Sleeping Beauty (SB) トランスポゾン(外来遺伝子の発現ベクター)とその transposase (SB100X) 発現ベクターを共注入する HTVi 法を活用するが、まずは、マウス MHC クラス I 分子(H-2Kd & H-2Kb)と EGFP-2A-luciferase 分子(ポジティブコントロール)をマウスの肝臓で強制発現させる実験の成功率を上げるために、実験者(主に大学院生)のトレーニングを重点的に行う。
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