研究課題/領域番号 |
21H02723
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
野崎 智義 東京大学, 大学院医学系研究科(医学部), 教授 (60198588)
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研究分担者 |
渡邊 菜月 東京大学, 大学院医学系研究科(医学部), 特任研究員 (00883323)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 脂質 / 輸送 / 感染症 / 寄生虫 / 病原機構 |
研究実績の概要 |
フォスファチジルイノシトールリン酸(PIPs)の種類・量・局在の時空間的制御は細胞の高次機能において必須である。本研究ではシグナル伝達、細胞骨格、小胞輸送、遺伝子発現など多くの細胞機能の制御に重要な役割を果たすPIPs輸送タンパク質(LTP)の赤痢アメーバの病原機構における役割と制御機構を理解することを目指している。特にSTARTドメインを含む3種のLTPの赤痢アメーバの病原機構における脂質輸送分子基盤とLTPによる運動・貪食・分泌・細胞破壊・増殖等の制御の分子機構の理解を目的とする。LTP1は運動に選択的に、LTP3は主にエンドサイトーシス、分泌に関与するが、本研究ではLTP1/3の下流の実行分子を特定し、機能を解明している。また、LTP1/3の貪食過程での時空間的協調を理解する。これまでにHAやGFP標識を付加したLTP1/3を発現する赤痢アメーバ株を樹立し、発現を最適化した。その抽出液からLTP1/3と結合するタンパク質をアフィニティ法により精製し、質量分析によりタンパク質同定を実施している。更に、LTP1/3による貪食過程の時空間的制御の解明のため、蛍光タンパク質標識されたLTP1/3を同時に発現する赤痢アメーバ株の作成を実施した。作成された形質転換株用いて、ライブイメージングにより、LTP1/3が関与するタイミングと場所を詳細に計画している。更に、LTP4は唯一核移行シグナルをもち、核制御、核ー細胞質輸送などを担うことが予想されるが、今年度はGFP, BioID, HAタグ融合したLTP4を発現する赤痢アメーバ株を作成した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ほぼ予定通り研究が展開されている。
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今後の研究の推進方策 |
LTP1/3の下流実行分子の同定と機能解析に関してはHAまたはGFP標識したLTP1/3を発現した赤痢アメーバ株の抽出液からのLTP1/3結合タンパク質の取得をより厳しい物理化学的条件下で行う。また、近位依存性ビオチン化標識 (proximity-dependent biotinylation; BioID)を用い同様の実験を実施する。同定されたLTP1/3結合タンパク質の発現抑制(gene silencing法)株と野生型またはドミナントネガティヴ変異体の発現株を作成し、表現型を解析することを予定している。また、貪食・咀嚼食過程におけるLTP1/3の動態を2種類の蛍光タンパク質標識されたLTP1/3を発現した赤痢アメーバ株を用いて、ライブイメージングにより観察し、LTP1/3が関与する時空間的制御を理解する。核内LTP4の機能解析に関しては、GFP, BioID, HAタグ融合LTP4を発現する赤痢アメーバ株を作成を終了し、LTP4の細胞内局在や結合タンパク質の同定を予定している。
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